02.11/03

 

 雑誌次号の入稿が迫っていて、今まで便秘で溜め込んでいた原稿(ってほどの代物でもないけれど)を無理矢理絞りだしている今日この頃。こういう状態のとき、深夜に近所のファミレスに行く癖がついてしまった。家でうんうん唸っているよりは妙にはかどるんだなあ。何故なんでしょう。脚本家とか物書きの方が喫茶店やファミレスじゃないと書けないという話もたまに聞くけど、軽いノイズがいい効果をもたらしたりするんだろうか。
 しかし深夜のファミレスの光景は気が散るところも多々あるわけで、カーペンターズのインストナンバーがかかる店内で、顔つき合わせて長々と黙りこんだままのカップルとか、いかにもスナックのママといった風情のおばさんに罵倒されるおじさんとか気が気ではない。我ながら何故こんな環境のほうが筆がすすむのか不思議だ。やけになれる環境ってことだろうか。
 よく雑誌なんかで作家の書斎や本棚を拝見っていう企画があるが、「仕事がはかどるおすすめの店」っていう企画なんてのはいかがなものだろうか。まあ、それでやたらもの書いている人ばかりいる喫茶店が出てきてもイヤだけど。と言うか、そんな店で筆が進むわけがない。こんな無意味な文章書いている間に、大人しくファミレスにでも行ってろということか。……行ってこよ。

黒岩幹子

<<back
next>>