02.11/26

 

 恵比須にて『ゴスフォードパーク』を観る。つい最近『8人の女たち』を観たばかりなのだが、この映画もまた、限定された空間内(屋敷の中)で殺人事件が起こり犯人は屋敷の中の誰かなのである。ただこちらは『8人の女たち』とは違って、たくさんの上流階級の方たちとその従者たちが集まってくるので、はたして何人の容疑者があの屋敷に集まっていたのかはわからない。殺人事件が起こるのも映画が半分以上過ぎた後であるし、担当の刑事の捜査もかなり胡乱だ。殺人事件よりむしろ二晩にわたる空虚な「パーティ」の方が気になった。
 ご近所の渡辺さんの家の前は、はやくもトナカイのイルミネーションに彩られている。『ゴスフォードパーク』の中の「パーティ」よりはきっともっと「特別」な気持ちを持って、「パーティ」を開ける季節がそろそろやってくる。同時にその「パーティ」ははるかに「平凡」なものであるにすぎない。そんな「特別」で「平凡」な気分に街中が染まっていくのを観て、独り身の私がうんざりするだろうことは今からわかっているのだけれど、やっぱりパーティがしたいなあ!
 そのことはともかく、ジェレミー・ノーザムが弾き語るピアノを扉越しに聴いて踊り出す従者たちの姿に、ちょっとホロリとしたのだった。

結城秀勇

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