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03.2/4

 

 表参道はハナエモリビル5階のTNプローブにて「横浜港大さんばし国際旅客ターミナル」のfoaの展覧会を見に行く。入るとすぐの壁にこの展示の題名である系譜の図が掛かっている。といっても左から右へと分岐していくこの図の横軸が時間の経過と対応しているわけではなくて、その建築は閉じた空間なのか否か、ひとつの平面によって構成されるのか複数の平面によって構成されるのか、などといった分岐を経て個々の作品に至るという図である。で、この壁面の足下から線が延びていて、それが分岐していって個々の建築の展示に至る。以下チラシより引用。「種子が異なる環境において時を経て繁殖するように、建築もまた、系統発生論的なプロセスとしてとらえることができる」。つまりfoaがこの10年間に作ってきた個々の建築が歴史的な系譜を作るというのではなくて、個々の建築ができるプロセスが系譜をなすのだ。そんなことを言われると、それぞれの建築に徐々に時間的な方法の発展や洗練が加わっていくというより、ひとつの種である建築が場に根付いてそれぞれに特別変異しているというふうに見えてくる。火星に建つ建物もあったくらいだから、この「種」の適応能力はすごい。
 外へ出て表参道を下っていると、ベネトンの向かい側にトッズの広告で囲われた場所がある。そう、トッズもできるんだよな、と思い看板の設計者名を覗くと、伊藤豊雄の文字が。苦笑。表参道は日本の建築家の系譜図になるのか?

結城秀勇