レイトショー終了後の喫煙所での会話。
50代男性「わからんなあ」
20代男性「わかんなかった?」
50代男性「わからんよ。あれは作っている方もわからんのじゃないか」
20代男性「うーん・・・・・・。まあねぇ」
煙草を吸いながら、それとなく聞いていたその会話は、どうやらたった今上映が終わった映画の制作者とそのお父上の間でのものらしい。よく見たら、そのお父上も映画に出演してる人だったりする。それでもしきりに「わからん」とおっしゃる。まあ、そりゃわけわかんないよなあ。だって凄い変な映画だもんなあ。あれを「いやあ、面白い映画だよ」なんていうオヤジがいたら、そっちの方がよっぽどわからん。なんかあやしい。壺とか買わされそうだ。
というわけで、富永昌敬の『VICUNAS』はとても変な映画だ。変であるのと同時にとても面白い。断っておくが、「変だから面白い」のではない。そんないやらしい感性は『VICUNAS』から最も遠い。変であることと面白いことが渾然として観る者を撃つ、それが『VICUNAS』だ。あんまり変で面白いから、製作者の方に「あのーすいません」と声をかけてインタビューをお願いしてしまった。
そんな経緯で富永昌敬、「nobody」次号に登場してもらいます。よろしくです。
志賀謙太