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03.3/31

 

 先日インタヴューさせていただいた写真家の鈴木チカシさんから電話。「ツモリ・チサトのコレクションがあるけど一緒にくる?」。今日から東京コレが始まるのだ。
 あまりの暖かさに、午後5時のエビスガーデンプレイスでは半袖もそこかしこに。桜は今週が真っ盛りだろう(個人的には梅の方が好きだが、まあ悪くない)。そんな桜のピンクから生まれたような女の子たち、それから、桜なんてお構い無しに大股で歩く関係者らしき方たち……、始めてのコレクション体験に少しの期待。 
 ガーデンプレイスホール5時開始のショウは、しかし定時になってもなかなか始まらない。「申し訳ありません、トラブルがありまして……」、そんなアナウンスに怒り出す観客もひとり。いいね、コレクションらしい雰囲気。
 と、やっと音楽の鳴り出した会場。スタート。舞台上の幕に女性のシルエット、しかもボディコン風!? ランウェイを歩く洋服は、80年代のゴージャスさを貧相かつ可愛らしくした、いかにも「東京風」なものばかり。あからさまな既視感ばかりで、いや、はっきり言って退屈(そんなことを言ってもどうしようもなくて、そもそも東コレなんて批評を全く求めていない場所だ)。
 ふと思う。洋服を含めたコレクション「演出」、そしてその「演出」を汲み取る批評。僕はそんな場を求めるのだ。だから、ということで、ひとつ提案。デザイナーの皆さんへ、演劇みたいに1週間ぐらいショウをやったらどうですか? 洋服だけなら、ショップで見た方が断然いいんだから、さ。

松井宏