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juin 13, 2008

Ill met by moonlight, proud Titania.

 ドイツ対クロアチア。もちろんドイツ優勢の予想。だが結果は2-1でクロアチア。ゲームを見れば決して番狂わせではない。クロアチアの監督は、ドイツ・チームをイングランドと似ていると言ったそうだが、このクロアチア・チームは、プレミア・リーグの中堅チームととてもよく似ている。大男のセンターバック、中盤での激しい守備から両サイドへ、そして両サイドがクロス。エヴァートンとかアストン・ヴィラみたいな中堅チームのように、この作業を愚直に反復するのがクロアチアだ。98年のW杯3位のときのような才能溢れるチームではなく、誠実なチームだ。誰か特筆する選手がいるのではなく、全員がタスクを忠実にそして全力で実行する。
 それに対してドイツは、言葉の真の意味でナイーヴだ。ほとんどの選手がブンデス・リーガでプレーしているせいかもしれない。別のやり方をするチームへの対応力が小さい。バラックとレーマンはプレミアで揉まれているだろうが、他の選手は、「外部」を知らなすぎるようだ。クロアチアの選手は、呼ばれればどこへでも行って、欧州各地で活躍している。だから、対応力、応用力がなければ務まらない。そして、この日のクロアチアは、その対応力をゼロ地点に置いている。つまり、相手に走り勝ち、プレッシャーをかけ続け、早いクロスを送り続け、どんな場合でもシュートを打つ。フットボールとは単純なものなのだ。その単純さを信じていれば、その信仰の大きさに相手は次第に驚き、方向性を見失っていく。作戦は単純だが、そういう場所に作戦を落とし込んでいけば、チームは絶対に強くなる。約束事以前に1対1に勝つ。ボールを奪ったらサイドに展開する。サイドを駆け上がってクロスか、コースが見えればシュート。後は全員で一生懸命走る。それの繰り返し。自ら強いと思いこんでいるチームの選手たちの鼻をあかす一番良い方法をクロアチアは選んだ。

投稿者 umemoto youichi : juin 13, 2008 11:43 PM