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2005年3月16日

2005年3月16日

茶髪に小麦色の肌をした彼が、ぐったりと布団の上に横たえている。とても疲れているのか、口数は極端に少なく、ごくたまに発せられる言葉も、小さくて何度も聞き返さなければいけないほどだ。私も彼にあわせて押し黙り、マッサージに力を入れる。力が抜けきった、均整のとれた彼の長身は、指で押すと、驚くほど柔らかくほぐれているのがわかる。どこか一部の筋肉を酷使したとか、長時間イスに座り続けたとかではなく、純粋に今日1日分のすべてのエネルギーを使い果たしたかのような彼のその姿は、清々しく美しい。
うつぶせの彼の、腰の上に置かれたタオルをたたみ、ナース服を脱ぎ始めてからも、彼にかわるところはなく、ただ私はその美しい背中の筋肉の筋にあわせて指を滑らせる。さっきまでは普通に受け入れることができた、彼の無反応さが少し気になり始める。「仰向けになってください」。ゆっくりと長身を起こす彼を見ながら、私はローションをたっぷりと手のひらに溜め込む。彼のペニスが大きく突き立っているのが見える。言葉はなくとも彼の体が反応を示している。少しほっとしながら、私は彼の足にまたがり両手でペニスをいじり始める。若さゆえか勃起した彼のペニスは異様に固い。私は玉とカリを指先でなめ回しながら、彼の顔をのぞき見る。彼は細い目を少し開き、相変わらずの無表情だ。視線の先は読み取れない。固まったペニスも、そういえばずいぶん激しくしごいているというのに、一向に変化の兆しがない。このまま彼はいかないのではないかという不安感が、ふと頭をよぎる。私は手の動きを止める。口にたまった唾液を、ゆっくりと彼のペニスへとたらす。顔をあげると、こちらを見ていたらしい彼と目が合う。彼が口を開く。「……口にもちょうだい」。彼が大きく口を開く。「えー……だーめ」。しかし彼は口を閉じようとはしない。「いいじゃん。ちょっとだけ」。「だめですよー」。「いいから。ね」。「……」。私は、彼の肩の辺りに手をついて、上にまたがり、彼の顔に自分のそれを近づける。数十センチ離れた彼の口元をめがけて、ゆっくり唾液を垂らす。彼は口を閉じるとそれを飲み込み、再び大きく口を開く。「もっと」。唾液を垂らす。また彼が口を開く。「もっと」。「……えー、もうでないよ」。「でなくてもいいからもっと。……ね、顔にかけて」。「……」。プレイが突然M性感の様相を帯び始める。これまでエステモードでおっとりと彼と接してきた私は、完全にひるんでいる。いまさら淫乱姉さんに変身することはできない。彼のまなざしが、その安っぽい私の戸惑いを見透かしているかのように、まっすぐに私を見つめる。……さっきからずっと私はペニスを最強でしごき続けている。しかし彼にいく気配はない。それでこのままというのも悔しい。「……ぺッ」私は思い切って彼の顔をめがけ、勢いよく唾液をはきかける。彼が反射的に目をつぶる。「……もっと。全部かけて。タンでもいいから全部出して。……すげぇ欲情する」。「ペッ……ペッ……ペッ」私は繰り返し繰り返し彼の顔につばを吐きかける。彼がその度ごとに目をつぶり、目の回りにネバネバした唾で無数の糸が引かれていくのを、なんだかとても冷めた気分で見つめる。「欲情する。……あぁ、いく」。

「すげぇ欲情する」。彼のその強い言い方が、私に彼の顔を唾まみれにするという暴挙を行う勇気を与えてくれた。しかし後になるとむしろそれによって、私は強制的に唾を吐かせられたという印象の余韻が強く残る。そこには倒錯的な主従関係が成立していたようにさえ思えてくる。つまり、「また来る」という普段なら喜ぶべき彼の捨て台詞に、私は一瞬確かにビビってしまっていたのだ。

投稿者 nobodymag : 2005年3月16日 08:29