青山真治×坂本安美トーク@横浜シネマリン 
「ゴダールの60年代、そして現在」

前代未聞の3Dの使用法、GoProを含むデジタル機器の奔放な組み合わせ、同一人物のはずの女性をふたりの別の女性が演じ、そして突如として犬が映画の中心に現れる。様々な面で見るものを驚かせたジャン=リュック・ゴダール『さらば、愛の言葉よ』だが、そこから汲み出すべきものはまだまだ尽きてはいない。2D版という希少な形態で本作品の上映を行っていた横浜シネマリンでは、併せて「ゴダールの60年代、そして現在」という特集を組み、『女と男のいる舗道』(1962)『彼女について私が知っている二、三の事柄』(1966)『男性・女性』(1966)の上映と、足立正生や山内マリコを迎えたトークショーを行っていた。横浜シネマリンのご厚意のもと、特集内で行われた青山真治と坂本安美のトークをここに掲載する。ゴダールの60年代と現在にとどまらず、その間の期間をも横断するトークを、「NOBODY issue 42」掲載の記事と併せてお読みいただければ幸いである。

「間違ったところで、世界とつながる」

坂本安美 :アンスティチュ・フランセで映画のプログラミングを担当しております、坂本と申します。本日はよろしくお願いします。
今日は『さらば、愛の言葉よ』2D版と、ほんとうに久しぶりに『男性・女性』を見させていただきました。青山さんは2D版はごらんになりましたか?

青山真治 :青山です。よろしくお願いします。2Dは観ていなくて、3D版だけです。2月26日にまず『アメリカン・スナイパー』(2014、クリント・イーストウッド)を見て、その足で同じ日に『さらば、愛の言葉よ』も見ました。一日で見たので、終わって外に出た瞬間、自分がものすごく疲れていることに気づいて衝撃でしたね(笑)。見ている間はそれほど疲れているとは思わなかったのですが、座り込んだとたん立てなくなるくらいの、重い二本でした。

続き・・・

青山真治 (あおやま・しんじ)

1964年、福岡県北九州市生まれ。映画監督。
1996年に初の劇場長編『Helpless』を手がける。2000年には『EUREKA』がカンヌ国際映画祭にて、国際批評家連盟賞とエキュメニック賞を受賞。2011年には『東京公園』でロカルノ国際映画祭金豹賞審査員特別賞を受賞した。小説家、舞台演出などその仕事振りは多岐にわたる。
甲斐バンドとのコラボレーション短編映画集『破れたハートを売り物に』が5/13にDVD発売開始。


坂本安美 (さかもと・あび)

アンスティチュ・フランセ東京映画プログラム担当。「カイエ・デュ・シネマ・ジャポン」誌元編集委員。
1996年より旧東京日仏学院にて映画上映の企画・運営を担当。フランスから様々な監督、俳優、映画批評家らを招聘し、映画作品とその上映、そして批評との関係をめぐる野心的な企画をオーガナイズし続けている。2014年のカンヌ国際映画祭では「批評家週間短編作品部門」の審査員を務めた。


さらば、愛の言葉よ

©2014 Alain Sarde - Wild Bunch

DVD発売元:コムストック・グループ
DVD販売元:パラマウント ジャパン
価格:3,980円+税
発売日:2015年07月08日発売(予定)