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渡辺進也
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渡辺進也
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2009年10月18日

10/18
渡辺進也

コンペティション部門を3本見る。
その3本にはうっすらと共通点があり、それは故郷から離れる人々を巡る話であることだ。出稼ぎにやってきた人々、都会に出て学問を志すものたち、都会で人肌上げるために田舎を捨ててなりあがろうとする人たち。

『激情』(セバスチャン・コルデロ)。移民の男と女のカップル。舞台はスペインだろうか。男は土木作業員、女は豪邸の召使。男は移民ということで差別され、上司に彼女のことを「あのエロイ女」と侮辱される(でも実際そう見える)。諍いがもとにくびにされた男はボスを誤って付き落としてしまう。 その後男はひと知れず豪邸の中に隠れる。映画は殺しを境にふたつの場面に分かれる。虐げられながらも仲睦まじく生活するふたりの生活を描く前半と、女が働く豪邸に誰にも知られず隠れて生活する男の様態と。ここで力が入れられているのは後半部分だろう。ねずみのように今は使われなくなった物置部屋でこっそり暮らし、彼女のことを見守る男。いつのまにか男の顔相は変化してしまっている。それに比べると前半部分が、フリの部分とはいえ弱い気がしてしまう。そもそも誰もがスペイン語を話すのでどこからどこへの出稼ぎかも映画を見ているだけではわからず(コロンビアからスペインだと後に知る)、出稼ぎの苦労はクリシェでしかない。あと建物内部とロケの明らかなテンションの違いが気になる。引きの画がまったくとれないということでもあるだろう。ただ最後まで観客の関心を引っ張っていく力のある映画。
『テン・ウィンターズ』。(ヴァレリオ・ミエーリ)常にどちらかに相手がいて、すれ違い。映画は10年をふたりが過ごした断片で構成する。出会い、すれ違い、仲違い。うまくいきそうになるたんびに邪魔が入り、お互い好きなのにいつになっても付き合わない。じれったい。そしてすべてを見せられた後にあるエンディング。これはおそらくハッピーエンドとして終了してると思うんだけど僕はフェアじゃないと思った。あの2人の間でケリがつけられてないんじゃないかと。それは僕の個人的な感想ですけれども。道化的な主人公がいても雰囲気が重くなる。ラブコメ的な題材はハリウッド特有のものなのかもしれないと思った。
『マニラ・スカイ』。(レイモンド・レッド)ダジャレのようなタイトルだ。ここにいるのは、死者の妄想に取り付かれるトム・クルーズではなく、田舎から出稼ぎに来た男が失業しつつも田舎の親に成功した姿をみせようとがんばる映画で。福本伸行の漫画に出てくるような男が主人公。黒沢みたいなやつ。かなり丹念に人物たちをとっていることも好感がもて、やたら社会に怒りをぶつけている主人公の姿にも好感が持てる。なので期待させるのだが、途中で笑っていいのかわからないコメディみたいになってくるように感じた。やはり社会の風潮が侵入してきている。最初に「真実を基にしている」という字幕が見られるのだが、そのとき真実をどこまで忠実に扱い、そしてどこまでフィクション化しているのか、そこが問題となる。
不況映画はこの後も散見される予感が。。。

『激情』
10月22日17:50
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『テン・ウィンターズ』
10月22日11:20
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『マニラ・スカイ』
10月19日21:15
10月24日17:50
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投稿者 nobodymag : 2009年10月18日 10:02