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2006年06月26日

レフリングについて

 イングランド対エクアドルは、本当に退屈なゲーム。こんなゲームを深夜の12時から中継されてはたまらない。眠いよ。それにイングランドの4-1-4-1はまったく機能しなかった。もちろんゲーム全体を包み込む蒸し暑さもあったろうが、それ以上に、エリクソンは人の配置を間違っている。ルーニーのワントップは、4-1-4-1には無理だ。チェコだって、コレールが怪我をしたら、このシステムは機能しない。バロシュではだめだった。つまりクラウチということだ。そしてもう一カ所の{1}はキャリックを虫干ししたが、おたおたしているばかりで自分の役割が分かっていない。ハーグリーヴズ──彼の右サイドバックもダメ──でいい。もし、エリクソンが、キャリックを「1」でルーニーを「1」でもエクアドルには勝てるだろうと踏み、ルーニーのゲーム勘を取り戻し、まだ出場機会のなかったキャリックをトライアルすることに、このゲームの目的を決めていたら、大したものだ。幸いベッカムの1発で勝ったのだから。

 そしてポルトガル対オランダ。好ゲームを期待するのは自然だ。だが、両チームとも入れ込みすぎ。ロナウドの怪我から始まり、コスティーニャのレッド等々、大荒れのゲーム。絶好調のマニッシュのシュートでポルトガルが逃げ切ったが、クォーターファイナルではデコを欠いてしまう。後半20分からはファール=イエローというぐあいでゲームになっていない。

 20枚のイエローが提示され、2枚目をもらった選手が4人。これはゲームではない。イヴァノフ主審には批判が集まっているが、ぼくも同感だ。これではどちらがベスト8に残っても最高のメンバーを見られない。審判とはゲームをコントロールする人のことで、悪人を裁く人ではない。カードを出すという特権を握っていることで、ゲームをコントロールするべきだ。カードというのは「核兵器」みたいなもので、出すぞ出すぞと脅しをかけながら、出さないのがいい。(もちろん、国際政治の舞台でそんな軍備の平衡で平和を保つ方法など終わったしまったことはぼくにも分かっているし、そんな方法を今も信じているのは、キム・ジョンイルとジョージ・ブッシュだけだ。)終始笑みを絶やさず、興奮するなよ、冷静さを失った方が負けだぜ、と諭しながら、選手から信頼を勝ち得つつ、この人の言うことに従おうという気にさせるのは良い審判だ。くれぐれも選手を見下し、俺の言うことを聞け、という態度を見せてはいけない(もちろん時には毅然とした態度も必要で、「核兵器」を発射しなければならないこともあるが、それは本当に最後の最後の手段だ)。世界中の人々が、ぼくも含めて良いゲームを期待して、こんな朝早くから起きて見ている。ゲームをぶちこわさないで欲しい。

 もうひとつ残念なこと。それはファン・バステンの選手起用だ。対アルゼンチン戦でカイトを見た人は、まだ一流には物足りない。やはりロッベン、ファン・ニステルローイ、ファン・ペルシだろうと思ったろう。何かの事情でファン・ニステルローイが先発ではないにせよ、後半押し詰まった時間帯、どうしても1点欲しいときにも、ファン・バステンは断固としてファン・ニステルローイを出さなかった。この選手にはいろいろと問題があることぐらいマンチェスター・ユナイティドを見れば分かる。でも彼は、どう考えてもオランダではナンバーワンのストライカーだ。ジーコの柳沢とアレックス偏愛には罰が下った。ファン・バステンがもしこれからも指導者を続けたいなら、私情を棄ててファン・ニステルローイを起用すべきだった。ポルトガルのルイス・フィリッペが老獪だとは言え、ファン・バステンの幼さには目を覆った。

投稿者 nobodymag : 2006年06月26日 21:56