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2006年06月25日

メキシコはよかった

 延長前半マキシ・ロドリゲスのヴォレーがメキシコ・ゴールに突き刺さり、死力を尽くした戦いは幕を下ろした。面白いゲームだった。ショートパスを多用し、走り続けるメキシコの勇姿は昨年のコンフェデレーション・カップそのもので、心地よいものだった。昨年は日程の関係で不調だったマルケスが、今年はしっかりと準備をし、さらにチャンピオンズリーグ優勝で自信をつけ、メキシコのアタックとディフェンスにアクセントをつけていた。彼のゴールは見事だった。

 そのメキシコの頑張りにホセ・ペケルマンは、おたおたせず、常にアタックのサインを送り続ける。テベス、メッシの投入は分かるが、その上、アイマールまで投入。リケルメと心中のはずの自らの意志を曲げ、両雄を並び立たせなければ勝利をたぐり寄せられないと考えたのだろう。リスクを冒す。そしてリスクを冒しているのだというサインは、ピッチに立つ皆に伝わる。対するメキシコ。もちろん最後までファイティングポーズをとり、一度もノックアウト・パンチを受けることはなかった。マルケスとボルヘッティ以外ビッグネイムのいないこのチームのやり方は素晴らしい。全員が意思統一され、与えられた任務をこなし、リケルメはほぼ姿を消していた。バックラインも下がりすぎることなく、マルケスを中心に常に勇気を持って、アルゼンチンに対応した。だが、勝負をつけたのは、アルゼンチンの選手層だ。テベス、メッシがいて、そしてアイマール。彼らが70分過ぎから続々と投入されるのだから、このチームは本当にすごい。水入りの大勝負が最後の最後で寄り切りで決着という感じ。

 このゲームに限らないが、解説は人の良い井原や眠くなる木村和史ではなく、反町がいい。フットボールおたくとして何でも知っているし、その場その場でとても冷静な分析が気に入っている。「サッカー批評」誌が反町を大特集した理由も理解できる。もっともW杯前に発売されたその号で、反町が優勝候補にしたのはチェコだし、韓国も決勝トーナメント進出を予想し、アルゼンチン対オランダの予選リーグはそのゲームで決勝トーナメント入りが決まるといった彼の予想はすべて外れたが、チェコの戦術を好む彼の嗜好は共有するし、C組のコートディヴォワールは敗れたけれども、まだまだ潜在能力があることは誰の目に明らかだろう。三浦俊也と並んで、この人は、フットボールを思考している。アルビレックス監督時代の彼も評価するけれども、それ以上に、これからユース代表監督としての彼に期待したい。それに「サッカー批評」を読む限り、彼とオシムはダチらしい。もう決まったのだから、オシムにブルックネルになってもらおう。予選敗退でもブルックネルはチェコの監督続行を決断したという。2010年は南アフリカで老人監督対決を見たいものだ。老人と言えばアラゴネスのスペインは欧州予選では冴えなかったが、本戦に来ると、采配の老獪ぶりが気に入った。CXの解説をしていたヴェンゲルはトーレスこそ得点王候補だと言っていたが、アラゴネスによって、トーレスは完全にスペイン・ドメスティックのストライカーではなくなり、ラウルを完全に押しのけたような感じがする。
 スペイン対フランス。すごいね。

 いや、これからイングランド対エクアドル、それに、オランダ対ポルトガル! 日本や韓国の将来を考えている暇はない。

投稿者 nobodymag : 2006年06月25日 22:58