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2006年06月16日

俺はおこったぞ!(ジェラード)

 打っても打ってもトリニダード・トバゴのゴールネットを揺らすことができないイングランド。スウェーデン戦の再現? エリクソンは後半次々にカードを切る。まず精彩を欠いているオーウェン・アウト、期待のルーニー・イン。これでサポーターは納得するだろう。キレのないオーウェンだったら、ここらでルーニーにゲーム勘を戻させるのもいいだろう。骨折あけのルーニーがすぐに活躍できるほど、このゲームは甘くない。ゴール前の人混みでスペースを見つけるのも大変。エリクソンの真の狙いはここから。ジョー・コール、アウト、ダウニング・イン(前のゲームで批判したジョー・コール、アシュリー・コールのコンビネーションはこのゲームは悪くなかった)。そしてキャラガー(このゲームでは出来が良かった。ガリー・ネヴィルよりもずっといい)・アウト、レノン・イン。右ではサイドバックを右のウィンガーに代え、左はミッドフィールダーのそのままの交代。では右サイドバックは誰? なんとベッカム。

 このゲームの後半、キャラガーもアシュリーも上がりっぱなしで、現実的にリオとテリーの2バックで十分。その前をジェラードがカバーし、センターバックのひとりが上がると、アシュリーがカバーする布陣だった。だからベッカムの右サイドバックというのは、彼にクロスの余裕を与えるためだ。事実、レノンが何度も右サイドを突破する動きをし、ベッカムの前にぽっかりスペースが生まれ始める。

 中央から両サイドからガンガン攻めるイングランド、ランパードはルーニーをも追い越してセカンドアタッカー状態。でもこの人混みだ。上からボールを落としてくる──つまり大きなクロスをクラウチしかないな、と誰でも考えた瞬間、レノンからベッカムへバックパス。ベッカム、フリー。絶妙のクロスがゆっくりとクラウチの上方へ。これを決めなくちゃ、おとこじゃないぜ。ドンピチャの一発。これが83分。あとはキープで決勝トーナメントだ。

 でもそれじゃ我慢できない奴がいた。前回のW杯を直前になってパブで喧嘩して棒に振った若者、今ではリヴァプールの宝に成長したジェラードだ。それまでアタックはランパード、俺はディフェンスと役割分担していたが、もう我慢できない。俺にもボールをくれよ。ロスタイムだ。もう本気出していいよね。最初は味方と重なってシュートコースが消されたが、リターンをもらって、左に切り返し、そのまま左足で左隅へドーン! 2-0。

 トップが頼りないイングランドでは何と言っても俺とおまえ──ジェラードとランパードだよね。悪い、デイヴィッド、君のクロスもいいよ。それにしてもトリニダード・トバゴ、よかったね。ヨーク、久しぶりだけど、マンU時代でもアンディ・コールよりも君の方がよかったことを思い出したよ。誠実なプレイは大好きだ。

投稿者 nobodymag : 2006年06月16日 10:44