カンヌ映画祭日記② 5/14

  今日からは週末ということで、とりわけパレ周辺は観光客でごったがえしていて、会場への移動が本当に大変だ。交通規制もあり、目の前、5メートル先にある会場に入るために1キロ以上遠回りさせられる。さらに様々な上映で足止めをくらい、かなり前から並んでも上映に入れない。優先順位の高い魔法のピンクパスを持ってるジャーナリストが会場に吸い込まれていくのを横目に、一時間近く待つものの満員で入れず途方にくれたり…。とりわけコンペ作品に関しては、取材はもちろんのこと、コンフェランスも優先順位の高いパスを持っているジャーナリストで満員。私たちの入る隙はないようだ。待っている時間にもう一本映画が見れると思うと悲しいかなどうしても足が向かなくなる。

 

   さてさて、愚痴はこのくらいにしておいて、今日の一本目は、監督週間での上映『La fin du silence』。監督はRorand Edgard。今まで数本の短編を制作していて、この作品は長編一作目ということだ。それにしても主演の若い俳優がすごい。まさに映画顔。そして全編に漂う不穏さが尋常ではない。監督週間は会場もよりにコンフェランスのスペースが設置されていてプレスのレベルに関係なく自由に出入り出来るため、上映後のQ&Aに参加することができた。若い監督だからか製作がいかに大変だったか、時間がない、資金がない、そして、いかにシンプルな方法で作品を制作したかということが中心だった。監督週間の作品はこれで三本目、なんとなく全体的に重いので気分を変えようとカンヌ初コンペ作『Michel』を見に行く。オーストリア出身のMarkas Schleinzerもはたまた長編第一作目の監督で、製作はフィルムローザンジュ。子供のスチールを全面に出していたので、子供映画なのかと思っていたらだいぶ趣が異なっていた。一人の男と子供、母親の不在。二人での食卓、二人で過ごすクリスマス…でも、離婚後のシングルファザーの話ではない。ネタばれするので言えないけど、これもまた重い。その後はある視点部門の『17 filles』のために別会場に移動しようとすると突然の雨に降られる。雨に負けずに待ったのに、結局は入れずじまい。やっぱり面白い作品を見るためには並ばないといけないのかー。

 本日最後は、念願のモレッティ。会う人会う人が傑作だと話していたので、確認作業のようなものだけど、見て良かった。これまでの1日目、二日目とだいぶ低空飛行している感が否めない。早くまだ見ぬ傑作に出会いたい!