『アレノ』公開 越川道夫×渋川清彦 インタヴュー
「クルーが集まる、映画をつくる、
じゃあ次はどんな映画やろうか?」

これまでプロデューサーとして数多くの作品を生み出してきた越川道夫の初監督作『アレノ』がこのたび公開される。エミール・ゾラ「テレーズ・ラカン」を原案としたこの映画は、近年では異例とも言える16mmフィルムでの撮影という果敢な姿勢を見せていると同時に、妻とその愛人、溺死した夫ら3人の奇妙な人間模様を、俳優たちの親密かつ辛辣な演技によって描いた作品となっている。
今回、この『アレノ』という作品を巡って、製作・配給会社スローラーナーのプロデューサーとして日本映画のひとつの流れを築いてきた越川道夫監督と、脅威的なペースで仕事をこなしながら数々の重要な作品で活躍を続ける俳優・渋川清彦のおふたりに話を伺う機会を得た。演技をする俳優と演出をほどこす監督という役割を超えて、ただシンプルに「映画をつくる」ことに自然と向き合っているかのようなおふたりの会話から、この『アレノ』の魅力はもちろんのこと、「映画」そのものの面白さを感じてもらえれば幸いだ。


——この『アレノ』は越川さんにとってはじめての監督作品となります。これまでもプロデューサーとして数多くの映画の制作に携わってこられましたが、いかがでしたか?

越川道夫(以下、越川):はじめてと言えばはじめてですが、僕はものをつくるのが単純に好きですし、僕の師匠と呼べる方に澤井信一郎監督がいて、短いながら東映で助監督をしていた頃もあったんですが、でも職業監督になろうと思ったことは一度もありませんでした。これまでも小劇場の芝居の演出とか、台本も書いたりしていたので、はじめての監督作品ということで何か特別に気負うものがあるわけではないんです。

渋川清彦(以下、渋川):越川さんのことを知っている周りの人たちは、『アレノ』の監督は越川さんがやると聞くと「あー、やっぱりね!」という感じで反応していましたよ。越川さん、やっぱり自分で監督したかと。

続き・・・

越川道夫(こしかわ・みちお)

1965年生まれ、静岡県浜松市出身。立教大学を卒業後、助監督、劇場勤務、演劇活動を経て、映画配給会社シネマ・キャッツで映画の宣伝・配給に従事。1997年に映画製作・配給会社スローラーナーを設立。『洗濯機は俺にまかせろ』(1999、篠原哲雄)、『孤高』(1974、フィリップ・ガレル)、『太陽』(2005、アレクサンドル・ソクーロフ)などの配給・宣伝に携わる。主なプロデュース作品に、『路地へ 中上健次の残したフィルム』(2001、青山真治)、『幽閉者 テロリスト』(2007、足立正生)、『海炭市叙景』(2010、熊切和嘉)、『ゲゲゲの女房』(2010、鈴木卓爾)、『かぞくのくに』(2012、ヤン・ヨンヒ)、『ドライブイン蒲生』(2014、たむらまさき)、『白夜夜船』(2015、若木信吾)など。本作『アレノ』は第28回東京国際映画祭にてプレミア上映された。


渋川清彦(しぶかわ・きよひこ)

1974年生まれ、群馬県渋川市出身。KEEの名でモデル活動後、豊田利晃監督の『ポルノスター』(1998)で俳優デビュー。風間志織監督の『せかいのおわり』(2004)出演に合わせて現在の「渋川清彦」に改名。主な出演作に『火星のカノン』(2001、風間志織)、『ナインソウルズ』(2003、豊田利晃)、『鏡心』(2005、石井聰亙)、『M』(2005、廣木隆一)、『PASSION』(2008、濱口竜介)、『フィッシュストーリー』(2009、中村義洋)、『蘇りの血』(2009、豊田利晃)、『Playback』(2012、三宅唱)、『千年の愉楽』(2013、若松孝二)、『不気味なものの肌に触れる』(2013、濱口竜介)など多数。主演作として『そして泥舟はゆく』(2014、渡辺紘文)、『お盆の弟』(2015、大崎章)、『モーターズ』(2015、渡辺大知)があり、また『下衆の愛』(2016、内田英治)、『テラフォーマーズ』(2016、三池崇史)が現在公開待機中。


アレノ

2015年/日本/79分/スーパー16mm→HD
監督:越川道夫
原案:エミール・ゾラ「テレーズ・ラカン」
製作:畠中鈴子、清野恵里子
プロデューサー:奥田佑子、財前健一郎
脚本:越川道夫、佐藤有紀
撮影:戸田義久
録音:山本タカアキ
出演:山田真歩、渋川清彦、川口覚、内田淳子、遊屋慎太郎、諏訪太郎

公式サイト:http://www.areno-movie.com

©2015 ユマニテ


2015年11月21日(土)より、K's cinema他にて全国順次公開
配給:スローラーナー