『COP CAR コップ・カー』ジョン・ワッツ インタビュー
「現実の世界ではお宝に出会うことなくみんな大人になっていってしまう」
家出中に偶然見つけたパトカーを盗む10歳の少年ふたりと、彼らを追跡する邪悪な保安官のクライム・サスペンス『COP CAR コップ・カー』が公開される。保安官とふたりの少年、パトカーを乗り回す少年たちを目撃する中年女性、そしてそのトランクの中にいる謎の男……。ほぼ5人の人物しか登場しない本作は、わんぱくな子どもの無邪気さに着目しつつ、スリラーの中で大人たちの滑稽さを巧みに見出してみせる。監督のジョン・ワッツは、セリフに頼らないスマートな語り口とスリリングなディテール、そして広大な自然風景のなかで繰り広げられる詩情あるアクションとともに、簡潔でありながら示唆に富んだ少年冒険譚を作り上げたと言えるだろう。
なお、ジョン・ワッツはマーベル・スタジオからリブートされる新『スパイダーマン』の監督にも抜擢されており、「最も優秀な次世代の監督」の呼び声も高い。YouTubeに発表したフェイク予告編がイーライ・ロスに注目されて長編デビューした前作『クラウン』からわずかな期間で完成させた本作では、脚本に惚れ込んだケヴィン・ベーコンが製作総指揮を兼ねて出演している。そんなジョン・ワッツにスカイプ取材の機会を得たいま、1980年代のアメリカにおける少年冒険映画の記憶とともにお話を伺うことになった。
——私が『COP CAR コップ・カー』(以下、『コップ・カー』)を知ったきっかけは、『今日、キミに会えたら』(2011)『あなたとのキスまでの距離』(2013)の脚本家ベン・ヨーク・ジョーンズが本作を2015年のベストの1本に挙げていたことでした。彼はあなたの演出や技術を真っ先に褒め称え、「とてもシンプルなコンセプトで非常にうまく作られていて、それぞれの要素がとても熱心に描かれている。素晴らしく感激した」と評しています。私もそれに同意します。
ジョン・ワッツ(以下、JW):おぉ、それは知らなかった!光栄ですね。