「桃まつり」大野敦子&片桐絵梨子インタヴュー

3/29(土)〜4/11(金)連日21:10より渋谷ユーロスペースにて「桃まつりpresents真夜中の宴」開催!

「桃まつりpresents真夜中の宴」が開催されている。
これは現在までに映画美学校を卒業した女性監督9人による、計12の短編映画を集めた宴である。だがおそらく、ここ数年で多少辟易した感のある「オムニバス」もの——たとえ巨匠たちを集めたものだろうと——と「桃まつり」は決定的に異なる。なぜならそれは単なる寄り合いではなく、明確な方法と意図を持った運動体だからだ。自らの作品の制作から宣伝までを、9人各々が最大限の自由と責任によって担い、且つ、そのなかで相乗効果を生み出す。つまりおそらくは「波」——運動体はつねに「新しい波=ヌーヴェル・ヴァーグ」として我々にやってくる——、それこそ「桃まつり」をもっとも的確に示し出すことばなのだろう。
ということで、ここで読まれるのは9人のうちのふたりの監督のインタヴューだ。ひとりは大野敦子(彼女はこの運動体の主要な首謀者でもある)、もうひとりは片桐絵梨子。もちろんさまざまな点で両者の作品は異なる。「青山真治とジャック・リヴェットが異なるのと同じなのです」と言ってしまいたい誘惑に駆られるわけだが、それはそれで怒ってもらっても笑っていただいても構わない。何はともあれこのインタヴューによって、両監督の魅力はもちろん、「桃まつり」全体の高度な多様性が垣間見ていただけるだろうと、まず我々はそう願うのである。 昨夜どこぞで花見をしたあなた、ぜひ今夜は渋谷ユーロスペースへ、桃たちの宴へ…。

公式サイトはこちら:http://www.momomatsuri.com/


>> 片桐絵梨子 インタヴュー


>> 大野敦子 インタヴュー

『きつね大回転』
監督・脚本:片桐絵梨子
撮影:鈴木昭彦 録音:高田伸也 助監督:高杉考宏 ヘアメイク:市川温子 整音:長村翔太 音楽:竹田和也 スチール:浅見友紀乃
出演:松元夢子、圓若創、石川美帆
2008年/22min/DV/スタンダード
物語:「狐を退治してください」という指令を受けて、間抜けな文子としっかり者の遠藤の男女二人組みがある町を訪れる。狐が出そうもない都心の町で半信半疑で狐の罠を仕掛けると、そこには着物を着た美しい女性が罠に掛かっていた!狐のようなその妖しい女性に魅せられてしまった遠藤を、文子は連れ戻すことができるのであろうか?

『感じぬ渇きと』
監督・脚本:大野敦子
撮影:月永雄太 録音:冨永昌敬 音楽:狩生健志 整音:光地拓郎 編集:筒井武文、大野敦子 スチール:浅見友紀乃 劇中スチール:エチオピア-『エチオピア黙示録』より野町和嘉 日本-佐々木靖之
  出演:酒井健太郎、峯山健治、玉川瑠海、Mahelet Alemayehu Haile
2008年/11min/HDV/16:9
物語:2007年12月24日深夜。とあるスポーツクラブのプールサイド。清掃作業員の男がひとり働いている。そこへ若いインストラクターが様子を見にやってくる。と突然、近くで爆発事故が起こったようだ。外の混乱に手を貸したくても、若い男の指示で仕事を離れられない清掃員。若い男が落としたiPodには、飢えたエチオピアの少女が映っていた。細く、飢えた背中。いつしか、亡くなった幼い娘の幻影が清掃員のこころを支配してゆく。

『granité(グラニテ)』
監督・脚本:大野敦子
撮影:佐々木靖之 録音・整音:光地拓郎 美術:湊 博之 音楽:mr.a 編集:石谷岳寛 キャスティング:オガワシンジ スタイリスト:小磯和代 助監督:加藤直輝 製作:金森 保 照明:北川喜雄 CG:URUSHI タイトルデザイン:sallbo design
出演:大下源一郎、水上竜士、土屋シオン
2007年/15min/HDV/16:9
物語:炎の刻印を押された男がいた。彼は放火による一家心中の生き残りで、過去を隠し、おじと共に静かに暮らしていた。弱さのあまり、家族のすべてを終わらせてしまった父。男は父と異なり、愛すべき人を愛し、守っていけるのだろうか。そんな恐怖に苛まれている。 ある日、おじの心に宿った闇が浮き彫りになっていく。大切な人から再度裏切られた男は——。 granité:仏語。ざらざらした、の意。かき氷状のお菓子のことでもある。