『Dressing Up』安川有果 インタヴュー
「引き裂かれた女性」を描くために

数多の映画祭での上映を経て、映画『Dressing Up』がまもなく公開される。主人公の少女に降り掛かかる母のおぞましい過去が、やがて母との邂逅と記憶を呼び覚ましていく本作は、魅惑の世界へと誘う少女の視線とともに、安川監督自身の持つ語りの強度に満ちたフィルムだと言えるだろう。満を持して公開される今、そんな安川監督に本作『Dressing Up』を取り巻くさまざまな事象についてうかがった。

——『Dressing Up』は2011年に製作された作品です。まずはこの映画が製作から公開されるに至った経緯をお聞きしたいと思います。

安川有果:『Dressing Up』 は2011年のCO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)に提出した企画に始まります。それまでにも何度か応募したことがあったんですが、全然かすりもしませんでした。だけど2011年は審査委員が黒沢清さんや山下敦弘さんという自分の好きな監督でしたし、企画も十分に練ったことで手応えがありました。8月あたりに助成が決まった通知が来て、そこから脚本を2、3ヶ月練り、真冬の寒い時期にクランクインしました。完成後は「大阪アジアン映画祭」で最初のお披露目があって、そのあとドイツの「ニッポンコネクション」にも招待いただきました。

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安川有果(やすかわ・ゆか)

1986年、奈良県生まれ。大阪美術専門学校で映像制作を学び、短編映画『カノジョは大丈夫』(2010)がオムニバス企画「桃まつり presents うそ」の1本として渋谷・ユーロスペースにてレイトショー上映される。この作品を参考作品に2011年大阪映像文化振興事業CO2(シネアスト・オーガニゼーション・大阪)に出した企画が通り、『Dressing Up』を監督。主演の祷キララがCO2新人俳優賞を受賞した後、「TAMA NEW WAVE」ではグランプリと最優秀女優賞を受賞。『激写!カジレナ熱愛中!』(2014)がポレポレ東中野にて劇場公開。現在、新作長編を準備中。


Dressing Up

桜井育美(祷キララ)は父親(鈴木卓爾)と二人暮らしの中学一年生。授業で「将来の夢」について考えるという課題が出るが、自分の未来を想像することが出来ない。「母親のような立派な人になりたい」というクラスメイトの発言を聞いた育美は、死んだ母親(平原夕馨)がどういう人だったのかに興味を持ち始めるが、ある日、隠されていた母親の過去を知ってしまう。

2012年/68分/16:9
監督・脚本・編集:安川有果
撮影:四宮秀俊
出演:祷キララ、鈴木卓爾、佐藤歌恋、渡辺朋弥、平原夕馨、デカルコ・マリィ
公式サイト:http://dressingup.jp/

2015年8月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開!

ゲスト情報

15日(土) 上映前舞台挨拶 祷キララ(主演)、安川有果(監督)
16日(日) 上映後トーク 山下敦弘(映画監督)、祷キララ
17日(月) 上映後トーク 今泉力哉(映画監督)、安川有果
18日(火) 上映後トーク 石井岳龍(映画監督)、安川有果
19日(水) 上映後トーク 高橋洋(映画監督)、大畑創(映画監督)、安川有果
20日(木) 上映後トーク 真魚八重子(映画評論家)、安川有果
21日(金) 上映後トーク 松井宏(映画批評家、映画翻訳家)、安川有果

『Dressing Up』のレヴューはこちら