瀬田なつき インタヴュー
「いまどこにいるのかわからなくなるような体験を」

街中に散らばった5つの劇場、そこで上映される5つの小編。「漂流する映画館」と名付けられたこの企画が、瀬田なつきに監督の依頼を行ったと聞いたとき、これはおもしろいものになるに違いないと思った。街に溢れる音、溢れる彩りを切り取り、重層的に組み上げる瀬田の映画が、さらに現実の都市の風景の中に埋め込まれるとき、きっとそれは魅惑的な体験になるだろうと。それはわかりやすくアミューズメント的な魅力だけではなく、日常的な些細なひっかかりが複雑化していく不思議な体験になるだろうと。
この非常に珍しい企画の、編集作業の最終段階にあった瀬田なつきに話を聞いた。

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「港のスペクタクル」 Cinema de Nomad「漂流する映画館」
『5 windows』(監督:瀬田なつき)
蓮沼執太 インタヴュー
「ゼロから作品に入り込んで行く」

 7/18、浅草のアサヒ・アートスクエアで開催された「ミュージック トゥデイ アサヒ」で、初めて蓮沼執太のライヴを聴いたとき、素直に「これは瀬田なつきの作品に近いかも」と思った。もちろん瀬田作品で音楽を担当し続ける木下美紗都がメンバーのひとりとして参加していたことも、その近似性を示すことではあるのだろうが、なにより繊細なディテールを組み上げて作り出すダイナミズム、力強さ、そのピークへの持って行き方に、瀬田なつきの映画を思い浮かべてしまった。

ライヴ音源を元に製作されたアルバム『wannapunch!』を聞いて既に知ってはいたことだが、このライヴでもっとも印象に残ったのは、蓮沼が曲中に時折差し挟む「one、two」というかけ声だ。それはアンサンブル全体を指揮し、コントロールするというだけでなく、なにかが生まれつつあるこの場所に積極的に介入し、自らを刻み込んでいこうとする姿に見えた。 その蓮沼は、瀬田なつきの映画製作の現場に、どのように介入し、その徴を残したのか。

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瀬田組 『5windows』 撮影日誌 
studio402 汐田海平

「港のスペクタクル」の建築×映画×音楽アートプログラムとして開催されている「漂流する映画館」(Cinema de Nomad)。そこでは横浜・黄金町各所の上映空間に散りばめられた映像や音を拾い集めながら街を漂流していくという体験が待っている。今回は『5windows』に製作として携わった映像制作集団「studio 402」代表の汐田海平さんに、5日間に及ぶ『5windows』の撮影日誌を書いていただいた。ここにも撮影現場でしか体験することのできない、もうひとつの漂流譚があったようだ。

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ブンミおじさんの森

『5 windows』

2011年/約45分/16:9/カラー
監督:瀬田なつき
音楽:蓮沼執太
撮影:佐々木靖之
キャスト:中村ゆりか、斉藤陽一郎、長尾寧音、染谷将太

「港のスペクタクル」の一企画、Cinema de Nomad「漂流する映画館」として黄金町、シネマ・ジャック&ベティを含む5会場にて、10月1日~7日まで上映される。
港のスペクタクル : http://spectacleonthebay.com/plays/cinemadenomad/