『バビロン2―THE OZAWA―』公開 空族 相澤虎之助インタヴュー
フィクションとドキュメンタリーのあいだに人生がある

『花物語バビロン』(97)の衝撃から15年。空族・相澤虎之助の監督最新作『バビロン2ーTHE OZAWAー』が11月10日より渋谷アップリンクXで公開される。
 今作は、東南アジアにおける「麻薬・戦争・売春」の歴史を軸に構想された「バビロン」3部作の待望の第2作目。ベトナム戦争の記憶を辿りながら、風景に隠された「支配の歴史」を白日のもとに晒す今作は、現代を生きるひとりでも多くの方々に見ていただきたい傑作となっている。本インタヴューが、この『バビロン2』の汲めども尽きぬ魅力を垣間見る一助となれば幸いだ。

ミリタリー・マニアから大島渚、そして「バビロン」シリーズへ

――『バビロン2―THE OZAWA―』の宣伝チラシに書いてある文章を読んで知ったんですが、相澤さんは90年代にバックパッカーで東南アジアをまわっていたんですね。

相澤ハードなバックパッカーと比べると、やわなバックパッカーだったけど、昔からかなり行っていました。ベトナム、タイ、それにインド。金がないから、タイに一番多く行きましたね。『地獄の黙示録』(79、フランシス・F・コッポラ)とか『タクシードライバー』(76、マーティン・スコセッシ)とか、自分の好きな映画はだいたいベトナム戦争が絡んでいるものなんだけど、そういう映画を見てドアーズとかを聴くようになって、そこからヒッピーとかウッドストックとかのカウンターカルチャーにも入っていったんです。そうすると、「ヒッピー」とは一体何なのか、実際に見てみたくなってきて、それで90年代の中頃に、東南アジア諸国に初めて行ってみました。感想は、とにかく西洋人たちがすごかったの一言に尽きる。『ザ・ビーチ』(00、ダニー・ボイル)みたいに、やりたい放題に楽しんでいるわけ。「なんだこれは、アホか」と思ったけど、そういう光景とか「ゴーゴーバー」とかを実際に見てみると、やっぱりびっくりしてしまって。カウンターカルチャー的な空気もまだ若干は残っていて、「新しい世界をつくるんだ」みたいな雰囲気があったし、とにかくイケてる感がすごかった(笑)。

続き

『バビロン2―THE OZAWA―』

2012年/45分/8mm→DV
監督・脚本・編集:相澤虎之助
撮影:相澤虎之助、富田克也、河上健太郎
音声・音楽監修:山﨑巌
キャスト:富田克也、伊藤仁、鷹野毅ほか
ナレーション:尾﨑愛

11月10日(土)より渋谷アップリンクXにて2週間限定ロードショー!
http://www.kuzoku.com/

『バビロン2―THE OZAWA―』公開記念<相澤虎之助 バビロンナイト>開催!
11/10(土)23:15-開場/23:30-スタート(5:30終了予定)
@オーディトリウム渋谷
http://www.saudade-movie.com/

相澤虎之助(あいざわ・とらのすけ)

1974年生まれ。早稲田大学シネマ研究会出身。高校時代より自主映画を撮り始め、東南アジアの少数民族を描いた『花物語バビロン』(短編版)が山形国際ドキュメンタリー映画祭にて上映され、各方面で話題となる。『かたびら街』は富田克也監督作『雲の上』と共に渋谷UPLINK FACTORYにて7ヶ月にわたり自主上映された。『雲の上』の出演以来、『国道20号線』『サウダーヂ』と富田監督作品の共同脚本をつとめている。