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March 5, 2007

W杯スラローム第9戦 クラニスカ・ゴラ
梅本洋一

[ photo, theater, etc... , sports ]

 オーストリア国境近くのスロヴェニアのスキーリゾート、クラニスカ・ゴラのスラローム。この1戦は佐々木明にとって本当に重要な1戦だ。今シーズンはまったくふるわず、アメリカからヨーロッパに帰り、アデルバディアの7位、アデルボーデンの14位と少し浮上したと思ったら、1本目の30位にも入らなくなり、世界選手権では失敗し、第1シードからも陥落し、「腑抜けな野郎」に成り下がった佐々木明にとって、この1戦でひと桁順位に入らなければ、今日でW杯は終わりだ。つまり、例年同様、最終戦は上位25名しか出場枠がない。明は30位。W杯でポイントを取れたのが2回だけではこの順位も仕方がない。
 標高の低いこのスキー場はスタート地点でようやく1000m、暖冬の今年はスタート順が悪いほど不利になる。明は1本目23番。かつて第1シードのひと桁を滑っていた明の姿はもうない。カレ・パランダー、マリオ・マット、ベンジャミン・ライヒは好調。3人とも美しい滑りで田を引き離す。明もこの日は1本目14番。なんとか2本目の中位。スーパーな滑りを見せないと、これでは今日限りかと誰でも思ったろう。第1シードを陥落しては1本目で掘れた斜面を滑るしかない。さらに第2シードの1本目で14番では、2本目に残れはするが、2本目のスタート順は16番目であり、これまた掘れたピステということ。ノーチャンス!
 そして2本目。スタートは良い。だが、中途で大きなミス。あーあ! でも次第に急になる後半で何とか持ち直し、粘り強く滑ってフィニッシュ。この時点で2位。でもあと13人の有望選手が滑ってくる。ダメだろう。だが、ラッキーなことに、掘れて柔らかくなってきたピステに上位の選手たちも苦しみはじめ、コースアウトは何人も出て、さらに無事にフィニッシュした選手もタイムが悪い。明もスーパーな滑りではなかったが、7位に残った。これでスラローム22位。次に残った!
 2本とも何とか揃えたとは言える。そして25 番以内に入った。18日のレンツェルハイドの最終戦までとりあえず明のW杯は続く。1本だけでもスーパーな滑りが見たい。今日のレースにしても失敗がなければ4位はあったろう。