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January 9, 2008

07-08ヨーロッパ・ジャンプ週間
梅本洋一

[ book , sports ]

 ヨーロッパ・ジャンプ週間(4hills)を見るようになって何年目だろうか? ドイツ、オーストリーの4つのジャンプ台を1週間で転戦し、王者を決める年末年始の風物詩だ。ジャンプ台の上から映し出される映像を見ると、ランディングバーン近くの黒山の人だかり(数万の観衆)に驚く。まだスカパー!がないころは、ときどき12チャンネルでライヴ中継されていたように思う。当時はハンナバルトやヴィドヘルツェルが活躍していた時代だ。また映像を見たわけではないが、97-98シーズンの4hillsでは、オーベストドルフ、ガルミッシュ、インスブルックを3連勝した船木和喜が、最終戦のビショクスホーフェンで8位に沈んだ時代もあったし、さらに古くは、71-72シーズンでは、札幌オリンピックを前にした笠谷幸生が同じく3連勝したが、4戦目に帰国してしまい、どうして帰るんだ、と言われた時代もあった。当時は、ワールドカップの一環ではなかったし、日本チームは五輪に向けた強化としか考えていなかったのだろう。だが、押しかけている大観衆と賑々しい雰囲気が使えるように、この大会は、ジャンプ競技の中で、もっとも重要なものであることは言うまでもない。オリンピックに勝つよりも、W杯に勝つよりも、わずか1週間の4連戦で王者になる方が困難なのだ。4つの台はそれぞれ条件が異なるし、ジャンプは、自然条件に大きく左右されるから、その中で勝つことは本当に難しい。
 今シーズンの4hillsは荒れた。オーベストドルフ、ガルミッシュのドイツの2大会は順調に行われたが、オーストリーに移ってからの3戦目のインスブルックが強風でキャンセルになり、ビショクスホーフェンでの2連戦、しかもノックアウト方式ではなく、通常のW杯方式での開催になった。それでも3戦目まではまだ何とか波乱は収まっていたが、4戦目の雨、追い風という条件で、シード選手が次々に失速していったからだ。オーストリーの若手の星のひとり、シュリーレンツァウワーは、30人の選手が進める2本目に進出できなかったくらいだ。そんな中で、「昔の名前で出ている」ヴェテランのヤンニ・アホネンはすごい。1本目を126メートルにまとめ、2本目では、136メートルの最長不倒を出し、4hillsに圧勝した。
 長野五輪の強化が実って、かつてはワントゥー。フィニッシュを決めたこともある日本チームは、高校生の栃本翔平が1本目に5位に入ったが2本揃えられない。トップ10に比べると飛距離で10メートルちがう。勝負にならない。葛西がまだ出場しているくらいなのだから、選手層が薄いのだろう。95年に10代の船木が彗星のごとく現れた時代は遠くなった。チーム別対抗戦でも6位に入るのがやっとの実力。リレハンメルから長野の間の日本チームの力が嘘のようだ。フォームの改造に挑んでいる伊東大貴はともあれ、数年前に入賞したことのある山田大貴はどうしているのだろう。