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March 25, 2008

プレミアリーグ
マンチェスター・ユナイティド対リヴァプール 3-0
チェルシー対アーセナル 2-1
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 今シーズンのプレミアシップを占う大一番が2番連続! もちろん、期待を込めて見た。だが、結果はどちらのゲームもややあっけないもの。期待を裏切ることにはなったが、こういうことはよくあることだ。
 まずマンU対リヴァプール。フェルナンド・トーレスにイエローが出されたのに抗議したマスケラーノが2枚目のイエローをもらったところで、このゲームの趨勢は決まった。もちろん、リヴァプールもある程度持ちこたえられたが、ディフェンスラインの崩壊は時間の問題だった。一旦崩壊したものはもとに戻らない。防波堤からどんどん水が侵入して、一方的なゲームになった。
 そしてチェルシー対アーセナル。前半は完全なアーセナルのゲーム。中盤を支配し、ボールが回る。だが、肝腎のシュートまでなかなか持ちこめない。もちろん、アーセナルのゲームを多く見た眼にとって、これはデジャヴュ。そして後半も15分までは同じペースのゲーム。ついにセスクのコーナーがニアにいたサーニャの頭を捉えてアーセナル先行。これもデジャヴュ。点が欲しいチェルシーは、バラックとマケレレに代えて、アネルカとベレッチ。だが、その直後、そのサーニャが右足を痛めてしまい、交代を余儀なくされる。ディアビ、イン。エブエが右サイドバックに入り、それまで左にいたフレブが右に。マークとポジションがバタバタしている内に、ドログバに一発を浴びる。このゲームの焦点は、サーニャの負傷からドログバの一発までの2分間。アーセナルにリズムがなくなり、不調だったドログバが甦った。ストライカーに自信をつけさせると、ボールがストライカーに吸収され始める。まるでドログバの足に磁石がついているように。同点になり、ヴェンゲルは、ウォルコットを入れ、ファン・ペルシを下げる。だが、中盤を省略したチェルシーには、効果が薄い。再びドログバが火を噴き、万事休す。
 ヴェンゲルは、チームスピリットも問題ないし、ゲームコントロールもできていたと語る。確かに72分まではその通りだった。だがサーニャの怪我によるドタバタの数分間でこのゲームが決まってしまった。若いチームの欠点がでた。このチームには、ゆったりしたペースでチームを落ち着かせる人材がいない。ジウベルトは力が衰えたし、ベルカンプももういない。イケイケのフットボールのペースが何らかの要因で押しとどめられると、悪循環が止まらなくなる。フットボールの喜びを謳歌している時間帯のアーセナルは強いが、勝てるゲームをそのまま終わらせるために、その後のゲームを「殺せる」人材がない。後に引かないことを願うだけだ。
 4月にはいるとアーセナル対チェルシーの3連戦。もちろんチャンピオンズリーグの行方を占うことになるが、それと同様にプレミアシップにどちらが生き残るかもこの3連戦で決まる。