« previous | メイン | next »

January 13, 2009

『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』ジャド・アパトー/『寝取られ男のラブ♂バカンス』ニコラス・ストーラー
結城秀勇

[ cinema , cinema ]

 買ってしまった映画の消化スケジュールというだけなのかもしれないが、新作コメディの二本立て上映という近年稀に見るプログラムに惹かれ、新宿ミラノ座へ。予習のためにDVDを借りた『40歳の童貞男』が予想外に面白かったのでかなり期待していたのだが……。
 結論から言えば、両作品ともひどく無難な出来、という印象だ。途中で席を立ちたいと思わない程度には面白いが、いかんせん長い……。こちらの勝手な期待としては85分×2本立て的なノリでという気持ちだったが、見終わったら疲れた。両方とも同じくらい長いと感じたという点で、作品の上映時間では20分くらい長い『無ケーカクの命中男』の方がよくできているのかもしれないが、しかしこの内容で2時間越えというのはやっぱりよくない。『40歳の童貞男』のような爆発的なラストを期待してしまったのも、ジャド・アパトーに点が厳しくなってしまう一因かもしれない。しかしこの人、本気で純粋な愛を信じているのか、前作みたいな感じでと頼まれただけなのか、ダメ男が改心して真面目になってヨリを戻し、そしていかにも「子供が生まれるって素晴らしい!」なエンドロールを見ると、「でもそれだけじゃ人生つまんないよな」と思ってしまう。『40歳の童貞男』では、女性経験がないことは主人公の持つ箱入りフィギュアみたいなもので、実際箱から出さずに保管しているからいざというとき価値を持つんだけど、でも「フィギュアって箱から出して遊ぶもんだよな」と教えてくれる男友達との関係の方が彼の純粋な愛を描いた部分より面白かった。もちろん『無ケーカクの命中男』でも友達たちは重要な役割を果たしていて、アメリカのコメディ映画の人材の豊かさを感じるのだが、これだけいい俳優が出ているのだから、もっと面白くできたはずだという気がしてならない。
 そのことと関係して、両作品(あるいはこの手のコメディ一般)に言えることだが、男性俳優の良さに対してどうも女優の魅力が乏しい印象を持つ。キャサリン・ハイグルも顔はどちらかというと好きなんだけど、どうもスクリーンで見るにはいまいち……。ドリュー・バリモアクラスのコメディエンヌの台頭はないものか。『トロピック・サンダー』がよかったのも、男だけの映画であるからかもしれない。
 しかしなんだかんだ文句を言っても、見て損したという気にはならないので、こうした作品もDVDスルーにせずにガンガン公開して欲しいものだ。

新宿ミラノ座にて1/16まで