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November 5, 2004

バルセロナ対ミラン
アーセナル対パナシナイコス

[ sports ]

先週と同じ顔合わせでホームとアウェイが反対になったチャンピオンズ・リーグ第4節。
バルセロナは、ロナウジーニョの見事なシュートでミランを止め、アーセナルは、シガンのオウン・ゴールで引き分け、またも勝ちきれなかった。ほとんど同じフットボールをしながら、2チームは明暗を分けている。バルサはカンプノウでの勝利だったから、喜びは大きく、ハイベリーで勝てなかったアーセナルの失望も大きいだろう。
バルサは、先週のミラノでのゲームの方がいい試合をしていたが、シェフチェンコに裏を取られて1点食らった後、チャビからエトオへのドンピシャのパスで1点、ロナウジーニョの見事なフェイントがネスタを振って2点目。見事な勝利だった。問題は、ベレッティ、ジュリの右サイドを今後いかに活性化していくかということだけだ。
それに比べてアーセナルは、どうしたのか? マンUに無敗記録を止められてから、引き分け2ゲームでまったく勝てなくなってしまった。プレミア開幕当初の得点力が嘘のように、シュートがゴールネットを揺らすことがなくなった。このゲームでの問題はアンリがラッキーなPKを決め1-0になってから、2点目を決められないうちにシガンのオウン・ゴールで同点になってしまったことだ。1点では逃げ切れない。それは今までのアウェイ戦が語っている。その教訓が生かせていない、否、そんなことは分かっているし、選手たちも一生懸命やっているのが、どうしても2点目が奪えないのだ。
5バックのパナシナイコスばかりではなく、「攻撃力」のアーセナルを押さえるためには、これからどのチームもゴール前に人数を割いてくるに決まっている。それが崩せない。問題はそこだ。先回、このチームにはカウンター狙いは合わないので、バイタル・エリアでのワン・トゥーはどうかと書いたが、パナシナイコスのディフェンスのポジションを見ていると、ワン・トゥーで突破するのも困難だろう。スペースがない。このチームは、あまりにアタックの形を求め過ぎているように見える。シュートを決めるのはアンリ、レジェス、ピレスに偏りすぎているのだ。もちろん綺麗に崩して点が入るのを見るのは、僕も大好きだ。フットボールの醍醐味だ。だが、同時に、勝つことも重要だ。崩せないけれども点を取ること──そのためにはバルサのロナウジーニョのようなスーパープレイが必要だが、アーセナルにはああしたエステティックは存在しない。そこで提案だ。セントラル・ミッドフィールダーのふたり──このゲームではヴィーラとセスク──がもっと遠くからシュートを狙うことを常に意識すること。入らなくてもいい。シュートを打つこと。このチームのボランチふたりは、崩す美学にあまりに捕らわれているのではないか。思い出すのは去年のチャンピオンズ・リーグ。後のない状態から、偶然のようにアシュリー・コールのヘッドが決まったシーンだ。両サイドも含めてシュートを打ち、とりあえず勝つことが、このチームのカンフル剤になるにちがいない。

梅本洋一