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May 6, 2005

Champions League semi-final 2nd leg リヴァプール対チェルシー 1-0 (total 1-0) PSV対ミラン 3-1 (total 3-3)
梅本洋一

[ book , sports ]

リヴァプール対チェルシーは、ほとんどファーストレグの再現。互いに中盤をつぶし合い、シュートがめっぽう少ないゲームになった。変化は前半開始早々にルイス・ガルシアがゴール前の混乱の中で1点を上げたこと。それが決勝点になり、リヴァプールがファイナルに進むことになったのだが、だからゲームが面白くなかったわけでは決してない。ほとんど膠着して動かないゲームのなか、モウリーニョはロッベン(ジョー・コール)、ケジマン(ティアゴ)を入れスクランブルにするが、この時間帯(68分)は遅すぎたのではないか。確かにゲームは膠着状態が続いていたが、後半が前半の再現になることは前半の終わりの方から見えていたことだ。中盤を埋め、ディフェンス意識を高め、ほとんどシュートというものがないゲームを動かすには、中盤を空けるリスクを背負って攻めることしかない。確かに怪我あけのロッベンは、20分が限度だったのかもしれないが、76分に、この日、左サイドバックに入ったジェレミを下げ、長身のフートを入れ、ドログバとツインタワーで攻めるというチェルシーには慣れない方法を選択するなら、ロッベンが潰れるのを覚悟で後半開始から投入すべきだった。もっとも大きな敗因はダフの故障だ。
リヴァプールの勝因を挙げるのはやさしい。バロシュ(シセ)のワントップで、後は全員まず守備。4-5-1のフォーメーションで9人はまず守り。つまりスペースをまったく与えていない。リヴァプールの強力な武器であるジェラードのロングパスも封印され、ハマン、ビスチャン、ジェラードの3人が中央に控えるフォーメーションは決して崩れなかったし、普段は守備をしないルイス・ガルシアまでも右サイドのフィナンのカヴァーに走っていた。そしてホーム、アンフィールド。ここはオールドトラッフォードよりも熱烈で、リヴァプールの応援命の人々が集まっている。「選手も監督もチェルシーの方がいいし、チェルシーの監督は99.9%勝つと言っている。だが、選手や監督よりもすばらしいサポーターがここにはいる」とベニテスがゲーム前に語ったというが、この日のスタジアムの雰囲気は最高だった。
そしてPSV対ミラン。ファーストレグは「格」の差と書いてしまったが、フース・ヒディンクはやはり狸だった。ホームで負けない神話で選手たちに暗示をかけ、ディフェンシヴなミランを翻弄した。特にパク・チソンとイ・ヨンピョのふたりのコリアンの飽くことなき運動量は賞賛ものだ。アンチェロッティは、4-5-1で来たが、セードルフがまったくの不調で、4-4-2のノーマルに戻すのが遅すぎた。2点を献上してから、重い腰を上げてトマソンを起用した。コクー(2点ゲット)の奮闘むなしく、アウェイゴールの差でPSVは敗れたが、最後は「格」の差が出てしまった。昨年のラコルーニャにように完膚無きまで叩きのめさなければミランはゾンビーのように目を覚ます。
ファイナルの予想。イスタンブール開催なので、どちらかも遠いしまったく分からない。でも今年はリヴァプールを応援したい。ミランに今週末の対ユヴェントス戦で頑張ればいい。