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August 23, 2005

トライネイションズ第4戦 ワラビーズ対スプリングボクス 19-22
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 ラック、リサイクルを繰り返すワラビーズはボール・ポゼッションでは大きく上回るが、ゲイン・ラインをなかなか切ることができない。どうやってトライをとるかという方法論において、ワラビーズにあるのは、フェイズを繰り返し、人数的な優位を作り、トライに結びつけるという以外にないのだろうか。もちろんこの日のゲームでもスティーヴン・ラーカムは、肘の怪我で出場せず、マット・ギタウがSOをつとめていたが、スプリングボクスの強烈なディフェンスに何度も仰向けに倒されていた。スプリングボクスのディフェンスは、伝統的に両センターがシャローで入ってくるものではあったけれども、いつもよりはラインを深めに取るワラビーズに対して、少し様子を見るようなところもあったが、それでも的を絞り、2〜3人が一気にタックルに飛び出す迫力は申し分ない。
 ターンオーヴァーするとキックかパスという選択肢は当然だが、大きく蹴ってタッチに出し、ワラビーズ・ボールになっても、プレッシャーをかけて、タッチ・キックを蹴らせ、容易にマイボールにしてしまう。あるいはチャンスと見るや、決定力を持つウィング、ハバナを使って、一気にゲイン、あるいはトライ。ディフェンスからアタックに転じる全員の意思統一が図られ、トライを取る形を明瞭に持っている。まずディフェンス、そしてポゼッション、そしてハバナ。パターンはこれだけで、あとはPKを確実に入れていって点差をつけていくというシンプルなラグビーに徹している。本当にわかりやすいラグビーをするのが、スプリングボクスだ。
 だが、もちろんブレイクダウンは両チームにとって厳しい。フィル・ウォー、スカルク・バーガーといった両チームのボールハンターに反則が集中し、PKの機会が増えていく。スプリングボクスのモンゴメリーは結構外していたが、それでも勝利をたぐり寄せられたのは、ハバナの走力と決定力だ。この日2トライのハバナ、彼の活躍によって、スプリングボクスは勝利を手に入れた。エディ・ジョーンズはどうすればいいのか。ラーカムばかりではなく、レイサム、モートロックという突破型の選手もいない。FBのドリュー・ミッチェルだけが目立つゲームでは仕方がないだろう。こうしたときは原点に戻り、FWの奮起だけだ。