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September 5, 2006

サウジアラビア対日本 1-0
梅本洋一

[ sports , sports ]

 得てして中東相手のアウェイゲームはこんな感じになる。蒸し暑い。そして、走ることをモットーとするオシムのフットボール。絶対的な体力の優位を保っていれば別だが、長旅、深夜の練習、しかもJリーグの最中。悪条件が重なっている。それに若いチーム。インターナショナルマッチに慣れない選手たち。加地、遠藤、アレックス、駒野、巻、そして川口とW杯経験者はいるのだが、俊輔、中田といった中核を担う選手はいない。経験不足は明らかだ。
 ミッドフィールドに広いスペースができる。啓太ひとりでとてもカヴァーできるものではない。するとバックライン一枚でのディフェンスになる。だが、それにしてはピンチの連続のゲームではなかった。ポゼッションから考えても、シュート数から考えても、フィフティフィフティのゲーム。相手に1点入り、こちらのシュートが決まらなかった。それだけのことだ。つまり、もっとやられると思ったが、意外に戦えた。
 オシムが語るとおり、センターバックを担う選手がいない──中澤の復帰待ちか──し、ミッドフィールドの沈滞をブレイクできる選手がいない──オシムはファンタジスタはいらないと言っている──わけで、それならば、運動量で中盤を制さなければならないときにこの暑さとコンディションの悪さ。また選手たちはまじめすぎる。つまり走りすぎる。中盤でボーッとパスを繋いで、ヴァイタルエリアに入ったら、一気にスピードに乗るというゲームを体現できる中盤はいない。2000年のアジアカップで格の違いを見せつけた名波時代の代表チームの方がずっといいゲームをしていた。
 オシムは嫌いなのだろうが、プレイメイカーも必要だ。どんなときもオシムのフットボールをやる必要はない。今日のチームに必要なのは、伸二だ。阿部を下げて3バックにしたなら、アレックスは不要だ。駒野、加地の両サイドに、伸二、遠藤のボランチ。イエメン戦をいなして勝ちに持ち込み、帰国してからもう一度立て直せばいい。オシムも若い選手の値踏みは済んだだろう。