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December 12, 2006

チェルシー対アーセナル 1-1
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 もしフットボールに判定があれば、明らかにチェルシーの判定勝ちのゲーム。アーセナル・ゴールのクロスバーやゴールポストに何度シュートを止められたことか。しかし、結果は1-1のドロー。これがフットボールだ。
 より詳細に見れば、このゲームは、両チームの現在の姿を浮き彫りにしている。まずホームのチェルシー。バラック、シェフチェンコの両雄の加入は、このゲームでもまったく何の効果もない。後半にロッベン、ショーン・ライト=フィリップスが入ったときの方が、このチームが活性化したこともでもそれが明らかだ。ワイドに開いたロッベンを止めるのはエブエ、クリッシーでは困難だった。とても高い買い物をしたのだからモウリーニョとても出さないわけにはいかないのだろうが、シェフチェンコにドログバのフィジカル・ストレングスはなく、バラックにランパードの判断の速さはない。つまりドログバがいれば、シェフチェンコは不要で、ランパードの控え以外にバラックはいらない。ベンチにロッベンを置いておくのは本当に宝の持ち腐れだ。この日、左サイドバックに起用されたジェレミのところに良い人材が欲しいが。
 一方のアーセナル。ギャラス、アンリの怪我、トゥレの出場停止で、このチームは大幅な戦力ダウンだ。ギャラスのところにクリッシー、トゥレの代わりにセンデロス、アンリの代わりにアデバイヨールのワントップ。そしてジウベルトとフラミニの2ディフェンシヴハーフ。普通だと、右はエブエとフレブ、左はクリッシーとユングベリになるが、中盤もセスクひとりだけだと人手不足。テリーとリカルド・カルバーリョの屈強のセンターバックふたりを慌てさせるシーンは皆無だった。アデバイヨールもファン・ペルシも頑張ってはいるが、アンリひとり分の働きもできていない。フラミニのシュートで一時はリードしたが、その後もヴェンゲルはウォルコット投入という勇気を持てなかった。もしリードしてウォルコットを投入していれば、アシュリー・コールを左奥に釘付けにしておくことができるから、ミッドフィールドの劣性を跳ね返せたかもしれない。コールのインターセプトからボールが流れ、エシアンの強烈なミドルを浴びて引き分けてしまった。いくら若手が伸びているとはいえ、チェルシー相手では厳しい。これで引き分けならヴェンゲルも御の字ということだろう。
 総合的に考えてみると、アーセナルは怪我人の復帰を待てばディフェンスもミッドフィールドも前線も、より活性化するだろうが、チェルシーは高価なふたりを使っているが、彼らふたりを含めた戦い方を発見していない。ぼくがモウリーニョでもどうしたらいいか分からない。病はアーセナルよりチェルシーの方が重い。レアルといい、チェルシーといい、金満なチームは問題が多い。バラックはマケレレのように「水を運ぶ人」になれず、シェフチェンコにロッベンのようなサイドの強烈な突破は期待できない。モウリーニョはアブラモヴィッチに反抗しないのだろうか。バラックとシェフチェンコを使わなければ、本当に良いチームなのに。4-3-3のチェルシーは、マンUやバルサよりも強いだろう。