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June 25, 2007

トライネイションズ:スプリングボクス対オールブラックス 22-26、PNC:ジャパン対ジュニア・オールブラックス 3-51
梅本洋一

[ photo, theater, etc... , sports ]

 対イングランド戦、ワラビーズ戦を見て、秘かにスプリングボクスの勝利を期待したのだが、オールブラックスはやはり老練だった。前半こそラッシュしてくるスプリングボクスにタジタジの様相だったが、後半になると徐々にイーヴンに持っていき、力勝負に拘っていたスプリングボクスの疲労を待ち、最後に突き放す。オールブラックスというのは本当に懐の深いチームだ。ゆっくりと受け止めて、最初こそスプリングボクスの気迫溢れるアタックに後退を強いられたが、ブレイクダウンで諦めず、次第にスプリングボクスのフィットネスが落ちていくのが映像でも明瞭になる。力勝負には消耗戦を挑み、点差を開かれず付いていき、逆転して勝つ。おそらくグレアム・ヘンリーは最初からそういうゲームプランを持っていたのだろう。特にこの日のスプリングボクスはキャプテンのジョン・スミット──黙々と仕事を続けるこの人は大好きだ──と切り札の右ウィングハバナを欠いている。劣勢になったときに立て直せる精神的な支柱と、劣勢をカウンターから一気にトライに結びつけることのできるウィングがいない。ジクジクと勝負する。ダニエル・カーターのショットが好調でないなら、後半早々にメイジャーがDG。そして、そのメイジャーを代えて、マカリスターを送り込み、カーターとマカリスターのふたりでゲームを作っていく。ヘンリーの戦略に対して、ジェイク・ホワイト(南アフリカ監督)は力勝負のみ。これでノーサイドまで行くだけの力の差はこの両チームにない。
 そして8トライ奪われて惨敗のジャパン。力が伸びていると思いたいジャパンのファンと関係者。その証拠に前半の戦いを挙げるだろう。3-10。悪くないではないか、と。それに3-3からマーシュのシンビン中にトライをひとつ取られただけの前半、というだろう。だが、タックルしているだけではフィットネスが落ちていくだけだ。どんなチームも気迫を入れれば短い時間ならイーヴンの勝負ができる。問題は、肝心のディフェンスが崩れたこと。最後までブレイクダウンで勝負できなかったこと。ボールを回す速度が上がると付いていけなくなること。そして、もっとも大きな問題はトライが取れないことだ。これが実力と言ってしまえば最後だが、大西鐵之祐はこのジュニアに勝ったことがある。現代のラグビーではディフェンスのシステムの強化とブレイクダウンの頑張りだけでは負ける。スプリングボクス対オールブラックスのゲームがそれを証明している。ましてやジャパンのFWにスプリングボクスほどのフィットネスはない。ぼくがカーワンなら、もうお手上げ状態。ただ、矢富と大東の交代はいただけない。大東はとてもこのレヴェルのSHではない。ピシッとパスを放れるSHが欲しい。辻のリクルートしかないか。幸いアーリッジは間に合いそうだ。でも、それでも03年のW杯クラスまで行くのが精一杯か。