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August 15, 2007

GAL presents PR vol.1@代官山UNIT 8/10
鈴木淳哉

[ music , sports ]

 アクトは出演順に、にせんねんもんだい、口ロロ、サイプレス上野とロベルト吉野、バッファロードーター、DEDEMOUSE、group_inouの6組。
 バッファロードーター(以下BD)だけ世代が少し上だが、他の演者はみな私と同年代。と、思われる。いきなり年齢の話というのも野暮だが、バンドとしての演奏力はやはりBDが突出していて、いきなりベースのスラップからずっとタイトなバンド演奏を持続。それが単に上手いという感じより、伊達や酔狂でずっとバンドやってるわけじゃねえんだぜという凄みを感じさせる非常に巧みなステージ。それゆえにステージパフォーマンスの世代間の志向の違いがはっきり見えた。というより、BDより後進の世代のそれぞれの志向の違いが見えやすかったといった方が正確か。
 演者全て、それぞれが彼らなりのやり方でしっかり客と、本当に真摯に向き合っていて、本誌25号のインタビューでgroup_inouが語った「音楽だからってアートっぽい方に逃げない。」特に「逃げない。」という意思が全ての演者に感じられ、皆違うスタイルで体現していたように思う。
 中でも顕著だったのはサイプレス上野とロベルト吉野だが、なにも彼らに特徴的なんだろうと思われるMCの多用や、コメディアンのステージにも似た客とのやり取りについて言及するつもりはさらさらないことだけはここではっきり断らなければなるまい。なぜなら彼らの客に対する真摯さは、むしろ彼らの音楽のなかによりはっきり感じられるはずで、あえて証拠のひとつもあげるとすれば、あの「泳げたい焼きくん」で、GANGSTARR風のキャッチーで踊れる曲を「俺たちこんなこともできますよ」と長々とやることは容易だったはずで、事実それで喜ぶ客も大勢いるはずだが、彼らは凄く上品にも、ほとんど2分に満たない時間で演奏を切る。はっきりクリシェには酔わないし、きっとPREMIERとGURUに嘘をつきたくないんじゃないかなどと思って、勝手に甘酸っぱくなってしまった。かつて彼らが心酔したはずの、GANGSTARRでもPETEROCKでもTRIBEでもよいが、そうした先達が、彼らが言うような「機材負け」のマイクとターンテーブルからつむいだ魔法を、そのまま魔法で終わらせずしっかりと見据えて、魔法は実はショボかったかもしれないが、でもその貧しさをひっくり返すには、そこを徹底的に凝視するしかないことを彼らはよく知っているように思えた。
 そしてラストはgroup_inouのパフォーマンスだが、新曲も美しいしcp氏のジャミロクワイみたいなダンス?も切れてるしimai氏はサンプラー壊すし二人で生意気なことばっか言うし正直ちょっと気持ち悪いし、つまりはとにかくカッコいいのだ。今、音楽のなかで絶叫を絶叫として響かせるのは彼らが一番巧みなのではないか。本当に彼らの真摯さが一人でも多くの方に伝わることを、eastern youthにやっぱり哭かされた、もう勘弁してください吉野さんさっきからいかされっぱなしですまじで世代の一人として切に願います。とか、安い共感を誘うスノッブを彼らは嫌うはずで、下手なことは書けないが、やっぱりそれも本心の何割かだったりはする。