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April 10, 2008

GAL presents 「PR vol.2」2008.4.6 @代官山UNIT
渡邉進也

[ music , sports ]

 トクマルシューゴ&ザ・マジックバンド、toeといった面々が演奏を終え、フロアを溢れる群衆をかきわけ、group_inouのパフォーマンスを見通すことができる位置を確保した僕に、横からニヤニヤした声で田中君が話しかけるのである。どこどこでのライヴのgroup_inouのパフォーマンスが凄かったとか、今日のcpさんはやたら気合が入ってるだとか、imaiさんの機材がいつもより増えているだとか。CDで聴いてはいたけれど、ライヴを見るのは初めての僕を楽しませようとしてくれているのである。だけど、1曲めが始まるやいなや、僕はもうただひたすらに楽しかったのである。
 おそらく多くの曲を聴いたことがあるはずなのに、あたかもまったく別の曲であるかのように変態化され、どんどんと加速していく。そのなかで、また、強大な音量で増加されていくトラックのその前面で、言葉を紡ぎ続けていくcpのパフォーマンスはただただ眼を奪われる。ただふらふらとステージをまわっているようにみえてこちらの視線をまったく裏切らない堂々としたアクト、そして鋭利な刃物のようにきれのよいその声というか音というか。
 そりゃ、勝手に身体も揺れますよ。だって、もう最初からずっとふたりは全力なんですもん。それはもう、200キロの剛速球をひたすら要求するimaiさんに、cpさんは200キロ出てるか知らないけどとにかく全力で投げ続けて、そして、いつのまにかimaiさんの方も200キロで投げかえしちゃってる、そんな感じ。でも、きっとそれは無茶な要求とかじゃなくて、いや無茶な要求なのかもしれないけど、無茶だろうがなんだろうといいっていう信頼関係が明らかにふたりの間には存在していて、そういうものを見せられるとこちらはもう無責任に楽しんでしまう。そして、もう最初の数曲でcpさんは肩で息しちゃってるのに、1時間近い時間を(普段はこんなに長くやらないらしい)彼らは全力で投げきってしまった。
 ライヴが終わって、いかれた鼓膜ももとに戻らぬままに、「今日はhomeでしたけどawayのときのgroup_inouはもっと凄いですよ」と1回のライヴでわかってくれるなとばかりに、しかし満足げにまたニヤニヤした声で田中君は言うのである。だけど、そうなんだ、と答えた僕のほうがきっとニヤニヤしていたと思う。