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September 18, 2008

08-09チャンピオンズリーグ第1戦 ディナモ・キエフ対アーセナル 1-1
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 かつてディナモ・キエフはそのスピード溢れるフットボールでチャンピオンズリーグを席巻したことがある。シェフチェンコを擁した98-99シーズンのことだ。コーチのロバノフスキーは、中盤をやや省略し、あっという間に敵ゴール前に攻め込むフットボールで強豪を次々になぎ倒し準決勝まで進出した。シェフチェンコがこのシーズンの得点王になった。
 アーセナルの緒戦の相手はこのディナモ・キエフだ。いくらプレミアで調子を上げているからといって、アーセナルには不利な材料が山積だ。ロンドンーキエフの長い移動時間。もともとアウェイに弱い体質、もともとロシア──ここはウクライナだが──でのゲームに弱い体質、さらにチャンピオンズリーグでかつて1度も勝っていないこと。大観衆と緑の絨毯のようなピッチでのゲームに慣れている選手たちにとって、暗いスタジアムでの寒いゲームは苦手なようだ。
 もちろんディナモ・キエフもかつてもディナモ・キエフではない。シェフチェンコが去って10年近く、そして、ヨーロッパ・フットボールの均一化の波を受けて、このチームにも多くの外国人選手が加入し、システムも見る限り4-2-3-1。めったに見ることのないチームが新たなフットボールを展開する驚きなどもう期待することはできない。ディナモ・キエフは、バックラインの4人と中盤の3人でアーセナルの中盤を潰しにくることなどゲーム前から了解済みだろう。そして、アーセナルは、この日、ファン・ペルシを左ワイドに置いて4-2-3-1、単にガチンコ勝負だ。いつもの4バックの前にデニウソンとソング、両翼にウォルコットとファン・ペルシ、トップ下の位置にセスク、そしてアデバイヨールの1トップ。点を取られにくい代わりに展が入りにくいシステム。アウェイの布陣だ。
 ビッグクラブを迎えてディナモ・キエフに気合いが入るのは当然。イーヴンの展開が続く。ヴェンゲルはスーツの上にダウンを着ている。寒い! 前半はサニャとクリッシの上がりが少ない。やはり負けなければよいのか?
 後半も同じような鈍い展開が続く。アーセナルは中盤がフラットに4人いないとどうも展開がやや遅くなるようだ。トップ下のセスクにはスペースがないし、デニウソンとソングからの展開は期待できない。ふたりともボールへのからみはよいが、ボールを奪ってからのミスパスが多い。やはりイーヴン。ギャラスのミスからゴール前にボールが送られ、サニャが相手を倒しPKを与える。ディナモ・キエフ1点リード。ここから立て続けにヴェンゲルが動く。まずソング→ベントナーで、4-4-2。次いでイエローを貰っているサニャに代えてエブエ。最後にファン・ペルシ→ヴェラで4-3-3。フルアタックだ。ほとんどのボールをアーセナルがキープできるがゆえに、ややアタックが単調になる。ラスト5分ではどんどん放り込みはじめる。ギャラスの1発でドロー。こんなものだろうか?
 とりあえず若手選手たちも寒いアウェイを経験した。