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December 8, 2008

08関東大学ラグビー対抗戦 早稲田対明治 22-24
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 途中出場の田邊のコンヴァージョンが右のポストをたたいてノーサイドのホイッスル。入れば24-24 というゲームだった。多くの人々が語るとおり、明治の面子ならこの程度やれて当たり前だ。だが、本当に早稲田は弱い、これがぼくの実感。弱い上にナイーヴ。帝京に負け、良薬になったと思ったが、その敗戦はもう忘れられているようだ。明治の面子ならこの程度やれて当たり前なら、早稲田の面子なら、この程度ではどうしようもない。
 もちろん明治の勝因はブレイクダウンでのファイト、もともとイーヴンにはやれた奴らが、がむしゃらに頑張ったらイーヴン以上になった。ラグビーはメンタルなスポーツだという教訓。それが結論ではつまらない。早稲田の敗因は何なのか。豊田キャプテンが言うとおり、ラックで寝ている明治の選手が多く、SHの捌きが遅れたからか? そうでもないだろう。あるいは、FBのキックがまったく入らなかったからか? そうかもしれない。お粗末すぎるFBのキックとラストの田邊のコンヴァージョンが決まっていれば10点差程度で勝利を収めたろう。勝てばいい勝負ならそれが直接の敗因だ。だが、チームとしてもっと大きな欠陥がこのチームに内在しているようだ。
 まずブレイクダウンで勝てないと勝負に負けてしまうこと。より大きく、より巧みなFWに当たれば、これでは常に敗北することになる。かつての早稲田なら、FWは常に劣勢であって、スクラムは押され、モール、ラックではイーヴン以下が前提でゲームを組み立てていったはずだ。FWがどんなフェイズでも劣勢なのだが、それでも勝利をたぐり寄せる方法を探求し、それを正確に実践することしか勝利への道はなかった。だから、マイボールのスクラムとラインアウトに磨きをかけ、そこからの展開。だが、今日のゲームは、スクラムは劣勢、ラインアウトからクリーンにボールが出ない。これではすべての局面で1対1の勝負にもつれ込み、気迫が漲っている明治に後れを取る。そして、新ルールを味方にするエリアマネジメントを徹底する。だが、早稲田のSOの選択は、ぼくの予想を裏切る確率が50パーセントを超えていた。「ここはキックだ!」と思えば、パスをして明治のディフェンスの餌食になり、「ここはパスだ!」と思うところで無闇に勝負し、ここは勝負だ、の瞬間、彼はハイパントを上げていた。彼をファンタジスタと呼ぶ向きがあるが、今日のプレーを見る限り単なる「場当たり」に過ぎない。SHの捌きも遅すぎ。WCの吉田を見るようだった。後半押し詰まってSHを代えると見違えるようにバックスが走り出した。このゲームの敗因は、なんと言ってもハーフ団の未熟さにある。
 つまり帝京戦と同じ理由で、今日も早稲田も負けている。FWが劣勢になると為す術がない。これは前任者の監督の悪影響だろうか。重要な局面でノックオンしてしまうのは、練習不足以外のなにものでもない。もちろんFWを強化することは必須だ。だが、常にもっと強いFWと当たることがあり、それでも勝つ方法を見つけなければ、早稲田のみならずジャパン・ラグビーの未来はない。カーワン・ジャパンへの不満の原因が、この早明戦で見つかったような気がする。