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May 12, 2009

アーセナル対チェルシー 1-4
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 今シーズンのプレミアリーグも大詰め。今節を含めて残り3ゲーム。チャンピオンズリーグ準決勝で敗退したアーセナルの目標は、来シーズンのチャンピオンズリーグにストレートインできるプレミア3位以内の確保。そして現在の3位はチェルシー。非常に分かりやすい。
 風邪のアルシャヴィンが欠場。左にディアビ、右にウォルコット、トップ下にセスク、ファン・ペルシの1トップ。セントラルにナスリとソングという布陣。最初から右サイドをウォルコットが疾走し、何度もチャンスを作るが、シュートが入らない。圧倒的な攻勢の直後、チェルシーがFKからアレックスの頭で1点、次いでアネルカのミドル。0-2。何度も繰り返すけれど、こうした展開で反発力がないのがアーセナルの今シーズンだ。マンU戦のギブスもそうだったが、シュートミスを繰り返すウォルコットが「落ち」てしまう。それなりに経験はあるが、まだ若いアーセナルの選手たち。頑張ろうとするとプレーに精彩を欠き始める。
 後半開始後、気合いを入れ直して攻勢をかけようとした矢先に、トゥレのOG。これで0-3。またタオルという展開。確かにリヴァプール戦では4-4のゲームもやった。だが、あのゲームの作・演出はアルシャヴィン。彼が不在。キャプテンのセスクも、怪我からの復帰以来、悪シーズンにあったシュートも打てるパサーという面を見せていない。配球役に徹している。そして、ディアビの頑張りが空回りで、セスクとポジションが重なってしまう。
 歯車がうまくかみあわないときには、徹底して我慢するか、カンフル剤を打つかしか手がない。残念ながら、アルシャヴィン以外、カンフル剤がない現在、どうやって我慢するのか? スタイリストのヴェンゲルには、いちばん困難な選択だろう。ショートからミドルレンジのパスを繋ぎまくって、ディフェンスラインを崩してシュートが鉄則のチームにあって、チャンピオンズリーグのバルサ戦でチェルシーが見せたように「ゲームを殺す」ことは不可能だ。このチームのディフェンスラインの浅さを見れば、無失点で抑えるゲームでは、必ず6割ほどのポゼッションがいることになる。ディフェンスを強化するのではなく、アタックの多彩さを演出することで、勝ってきたチームだ。そして今、このチームに、パトリック・ヴィーラもソル・キャンベルもいないし、ティエリー・アンリのような絶対のストライカーもいない。その証拠にアーセナルの選手で得点王十傑に入っている選手はいない。
 つまり、こういうことだろう。ヴェンゲルが生み出したアーセナルのフットボールを体現するためには、今シーズンの選手たちは力が足りない。起用で気が利く小柄な選手──ヴェンゲル好みの選手──ばかりを集めたところで、チームは小ぶりになってしまう。このフットボールの衣を纏いつつ、ドゥルーズ的な脱領域化を可能にする選手が必要だ。