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October 19, 2009

『ヴィヨンの妻──桜桃とタンポポ』根岸吉太郎
梅本洋一

[ cinema, cinema]

 もし根岸吉太郎にスタジオという背景があったなら、このフィルムはかなりの傑作になったのではないか。田中陽造のシナリオも太宰のテクストを活かし、松たか子をはじめとする俳優たちもよい。演出のテンポも揺らぎがなく、見事に収まっている。  つまり、このフィルムはかなり良好な作品に仕上がっていることは認めよう。しかし、もしこのフィルムが同様のシナリオで同じ俳優たちで今から50年前に撮影されたとしたら、素晴ら...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:13 PM

October 18, 2009

『RAIN』堂本剛
黒岩幹子

[ cinema, music]

堂本剛という人が作る音楽には、単なるアイドルの余暇活動として切り捨てられないものを感じる。そのナルシスティックな言動やファッション、「自分探し」の一貫として書かれたような歌詞、あるいは「剛紫」(前作のアーティスト名義)といったネーミングセンスなど、凡人の私には受け入れがたい部分を持った人ではあるのだが、彼の音楽には何か考えさせられるものがある。近田春夫は以前、彼が前シングル曲の「空~美しい我の空」...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:36 AM

October 15, 2009

『The World』牧野貴+ジム・オルーク
田中竜輔

[ cinema, sports]

 釘なのか有針鉄線なのか、その形状の有する鋭角なイメージをスピーディーに旋回させる『EVE』、テープリールがそこら中で回転するスタジオとその中を走り回る男を部屋の中心近くに置かれたキャメラがぐるりとおよそ360度回転して捉える短い映像が、ループしながら重なり合い色合いを変えることでマーブル状の色彩を獲得していくジム・オルークの『Not yet』は、映像というものが、そして音が、まぎれもない「物質」...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:21 AM

October 14, 2009

『無印ニッポン──20世紀消費社会の終焉』堤清二、三浦展
梅本洋一

[ book, cinema]

 辻井喬名義の小説は読んでいないけれども、セゾン・グループの総帥を退任してからの堤清二の発言は本当に興味深い。前に上野千鶴子との対談本を採り上げたことがあるが、今回は、『下流社会』の三浦展だ。上野も三浦もパルコ出身といってもいいから、当時は「天上人」(三浦の表現)だったにせよ、セゾン・グループは、確かに多くの人材を輩出している(もちろん居なくなっちゃった人もたくさんいるけど)。  三浦展が書いたこ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:09 AM

October 8, 2009

『リミッツ・オブ・コントロール』ジム・ジャームッシュ
安田和高

[ cinema, cinema]

 ティルダ・スウィントン、工藤夕貴、ジョン・ハート……と、じつに世界各国さまざまな俳優が登場する『リミッツ・オブ・コントロール』は、しかしけっきょくのところサングラスをかけていない者同士——つまりイザック・ド・バンコレと、ビル・マーレイ——の一騎打ちの物語である。ほとんどの登場人物がサングラスをかけているなか、そのふたりは透明な目で世界を捉えている。宇宙には——と、劇中で工藤夕貴は言うのだが——“...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:52 PM