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April 26, 2011

今シーズンのアーセナルは終わった。
梅本洋一

[ sports ]

 3月中旬に3つのカップ戦を連続して失ってからアーセナルの悪循環(ヴェンゲル)は続いている。インジュリー・タイムにPKを奪ったようやく勝ち点3を獲得した思われたリヴァプール戦でも、タイムアップ寸前にエブエがPKを奪われてドロー。そして対トットナム戦では、3-1から同点に追いつかれ、さらに、一昨日のボルトン戦でも、タイムアップ寸前に決勝ゴールを奪われて敗戦。実況の八塚アナは、今年に入ってからプレミアリーグでアーセナルは負けていない、とりあえず8勝8分けだと繰り返したが、カップ戦ではすべて敗れ、このボルトン戦でも敗れたから、最後の対決と思われたマンU戦を前にして、ヴェンゲル自身が言うとおり、今シーズンのアーセナルは、最後が失望で終わった、ことはまちがいない。
「サポーターの皆さんが苛立っているのはよく分かる」とヴェンゲルは言うが、この1ヶ月間、何の処方箋も与えられずデジャヴュが繰り返されてきた。トットナム戦やリヴァプール戦のラストを見ると、どんなチームでもぜったいに逃げ切れるはずの時間帯に決定的な得点を許し、2ポイントが逃げていき、ボルトン戦などは圧倒的なポゼッションを誇り、スタッツを見ていないから定かではないが数倍のシュートを放ちながら負けてしまう。「これがフットボールだ」という常套句があるが、ここまでデジャヴュが続くと、常套句を反復するだけでは済まされない。何かがまちがっているのだ。その何かについて、ヴェンゲルは「セスクやファン・ペルシの怪我も大きな原因のひとつだろう。たとえばファン・ペルシは15ゲームに出場し14得点を上げたが、つまり、彼は18ゲーム出場していないということだ」と片付けるが、ベントナーやシャマクなどファン・ペルシの控えの選手が順調に成長していないのも原因だろう。たとえばアンリが抜けた後、アデバイヨールが成長したが、今シーズン、成長が見えたのはソング、ナスリ、ウィルショアだけだあって、アルシャヴィンにも、ロシツキにもキレが見られない。ウォルコットの消えている時間が長すぎる。失点の一番大きな原因になっているセンターバック陣の薄さは最後まで解消されなかった。ヴェルマーレンが最後まで戻ってこなかった。
 そうした編成上の問題と共に、たとえばマンUだったら、誰でもがこれでもかと見せつける(パク・チソンのような)献身ぶりがガンナーズにはない。ボール際の強さと諦めない走りというフットボールの原点を忘れて、ポゼッションとパスだけに集中するフットボールでは、相手のゴールネットを揺らすことができない。「方針はまちがっていない」と自らを擁護するヴェンゲル。賢者はフレキシブルである必要があると思う。