« previous | メイン | next »

April 25, 2006

チャンピオンズ・リーグ準決勝1st Leg
梅本洋一

[ book , sports ]

ミラン対バルセロナ 0-1
 準決勝まで進出するチームはリーグ戦との日程調整で本当に大変だ。リーガで首位独走のバルサはまだしも、ユーヴェの背中が見えてきたミランはすべて勝ちに行かねばならない。捨てゲームはなく、体力的にもきつい。対するバルサはロナウジーニョを2ゲーム休ませ万全を期した。勝ちに行くためには、まず負けないゲームをすることが選択されるから、勢いゲームは停滞してしまう。相手のフットボールの芽を潰し、スピードに乗ったアタックを出来る限り遅延させることが肝要になる。だからゲームはつまらなくなる。
 ミランがロナウジーニョにガットゥーゾをマンマークにつけ、バルサがエジミウソンをカカにつける。ピルロをイニエスタとファン・ボメルで見る。長短織り交ぜたパス交換もカウンターも減る。だが、勝利を収めたバルサはまさに勝因は、ひとつにラーションの怪我とデコの出場停止にあったのではないか。右サイドにジュリが登場。彼のスピードがセルジーニョのサイドアタックを殺した。つまりアタックとディフェンスの両面でジュリの起用が当たった。ヴァイタルエリアに入ったロナウジーニョが見えた瞬間、ジュリは常にダイアゴナルにゴール前に走り込んでいる。何度か繰り返されたこのパターンが一度成功し、バルサに虎の子のアウェイ・ゴールが生まれた。
 それにしてもロナウジーニョはすごい。彼がいなかったらバルサの勝利はなかったろう。
 2nd Legはミランも必死だろう。バルサもディフェンスに回ると、リヨンの二の舞になる。このゲームのパターンでいいのではないか。ジュリ右、ロナウジーニョ左、中央にエトオ。戻ってくるデコをファン・ボメルの位置に入れる。インザーギが出場しても、パスの出所を今日のように押さえればバルサの勝ちだ。

アーセナル対ヴィジャレアル 1-0
 このゲームは面白くなかった。まず両チームの監督は徹底したディフェンスから入っている。アーセナルはリケルメにジウベルトをマンマーク。ヴィジャレアルはアタックを2トップとリケルメに任せ、残りの7人でスペースを埋める。王様リケルメのタクトで成否が決まるヴィジャレアルを押さえるにはこの方法しかない。アーセナルの素早いパス交換を押さえるためには走り込まれるスペースを最初から埋めておくことだ。
 すると両チームとのキレの良いアタックは見られなくなり、中盤での1対1か、ロングパスか、セットプレーしかプレーメイクができなくなる。意図したアタックは減る。ここでもゲームはひたすら停滞してしまう。前半終了間際にセットプレーからトゥレが決め、アーセナルがリードするがゲームは事実上、これで終わってしまったに感じられた。もちろん、この日の審判のレヴェルが低く、ゲームの遅滞に一役買っていたし、後半に入るとヴィジャレアルが2点目の失点をしない作戦に出たから、アーセナルとしても攻め手がなくなってしまう。ベルカンプとファン・ペルシを投入してもゲームが動かなかった。

 さて2nd Legの展望だ。バルサ対ミランは力の差があるようだ。インザーギの風邪が治り、シェフチェンコとの2トップ(ジラルディーノは通用しない)が組めれば勝機はあるが、このゲームのようにカカとピルロが消えているのなら、ミランに勝機はない。明瞭なのはガットゥーゾひとりでロナウジーニョは止められないということ。アンチェロッティが別の方向でロナウジーニョを押さえることに成功しても、今度はデコがいる。ぼくは昔からアンチェロッティにコーチの才能があるとは思えないのだが……。そしてヴィジャレアル対アーセナル。こちらのゲームは分からない。だがアーセナル・サポーターとしてはヴィジャレアルをUltimate Crush して欲しい。そのためには、いつものアタッキング・フットボールを実行する。そして2点差以上で勝つこと。大ブーイングの中でレジェスが左サイドから豪快なシュートをたたき込み、ヴィジャレアルの息の根を止めてしまうことだ。