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June 19, 2006
『幸せのポートレート』トーマス・ベズーチャ黒岩幹子
[ cinema]
公開は真夏だけれど、これはクリスマスを舞台にした家族の物語だ。お堅いキャリア・ウーマンのメレディスが婚約者の実家・ストーン家(原題は「The Family Stone」!)でクリスマス休暇を過ごすことになるが、自由奔放でオープンなストーン家の人々は彼女のことが気に入らず波乱のクリスマスに……というお話。もちろんメレディスの恋愛・結婚の行方も物語の要素のひとつだが、家族愛、家族はどのようにしてつくられるのかということが一番大きな主題になっている。
クリスマスを舞台にした家族の物語は、いくつもの映画で語られているが、この監督がそういった映画を愛し、だからこそこの映画をつくったのだということが、冒頭のタイトルバックからすぐにわかる。ヴィンセント・ミネリの『若草の頃』のクリスマスのダンスパーティーのシーンをテレビ画面にうつし、ジュディ・ガーランドが歌う「Have Youself a Merry Little Christmas」をフルコーラスで流すのも、その愛ゆえだろう。あるいは、クリスマスではなく新年が舞台ではあるがジョージ・キューカーの『素晴らしき休日』なんかもきっと好きなんだと思う。
もちろん私もそれらの映画は大好きだし、家族のクリスマスというだけで良い話に決まっている。ただ、良くも悪くもウェルメイドな映画というか、少し物足りない気がするのも事実だ。ストーン家の人たちはメレディスのことを理想主義者で「自分がわかっていない」というけれど、ストーン家という家族こそがあまりに理想の家族像として描かれているような気がしてしまう。単に私がひねくれているだけなのかもしれないが……でも、それぞれの登場人物があまりに字義通りのキャラクター=家族内での役割を当てはめられているところがあるように思う。メレディスを演じるサラ・ジェシカ・パーカーも、強く理解ある母親を演じるダイアン・キートンも、まさにはまり役といった感じではあるのだが、逆に彼女たちが「これは私のためにある役だ」と思って「演じている」のがありありとわかってしまうのだ。それはたぶん、この映画がトーマス・ベズーチャ(監督・脚本)にとっての理想(のクリスマス映画)として撮られているからではないだろうか。
ちなみに、お堅いが実は変わり者の姉メレディスの妹役(嫌な言い方をすればサラ・ジェシカ・パーカーの当て馬)であるがゆえに、気さくな普通の女性を演じるクレア・デーンズが良い。『ターミネーター3』でも少し気になっていたが、「地味な美しさ」にさらに磨きがかかっていてそそられる。
投稿者 nobodymag : June 19, 2006 09:46 AM
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