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October 21, 2006

チェルシー対バルセロナ 1-0
梅本洋一

[ book , cinema ]

 ワールドカップ・イヤーのビッグクラブは辛い。シーズンオフが短く、一緒に練習する時間も限られているから、いくら優秀な選手といえどもトップコンディションに戻るまでに相当時間がかかるだろう。だが、チャンピオンズリーグのグループリーグはもう始まっている。移籍、コンディショニング等々、だましながら、ゲームをこなしながら、今シーズンのあるべき姿を探っていくビッグクラブは本当に大変だ。コーチの仕事量は普通の年の2倍はあるだろう。
 グループリーグ屈指のカードであるチェルシー対バルセロナの両チームも例外ではない。バラックとシェフチェンコをとったチェルシーは、シェフチェンコ、ドログバの2トップだが、シェフチェンコはぜんぜんダメ。トップ下にバラックだが、有効なパスは、バラックの後ろにいるエシアン、ランパードからしか供給されない。だが、もとのチームでもほぼ同じポジションをやってきた専門職のアシュリー・コール、ブラルーズは4バックの両サイドを立派にこなしている。一方のバルサを見て、目を覆いたくなるのは、このゲームの解説を担当した我らが原博美ばかりではない。ぼくらもそう。ロナウジーニョにはキレがない。メッシはひとりで局面を打開できない。デコは頑張っているが、エトオは怪我。そしてライカールト! 後半、ドログバのスーパーゴールでリードされると、ファン・ボロンクホルストに代えてイニエスタ。バックラインはどうするのかと思いきや、3バック。プジョルはおたおたするばかり。左のワイドをチェルシーが攻めるのは当然。ライカールトは結局プジョルをオレゲルに代えた。
 チェルシーのアタックはシェフチェンコとバラックで停滞し、幸いにも追加点を奪われずにすんだが、モウリーニョがバラックとシェフチェンコを早く見切って、ジョー・コール、ロッベン、ドログバの3トップで攻めてきたら、3-0くらいのゲームになったろう。チェルシーはアタックに大いに問題があり、バルサはディフェンスにも、そしてエトオを欠いたアタックにも問題がある。
 こういうときはどっしり構えて、ちょっと時間をかけてチーム状態を上昇させ、不調のロナウジーニョを休ませるなどの処置をとらないと、バルサのチーム状況はもっと下降するのではないか。チェルシーも去年ほどの強さはない。頼れるのはドログバひとり。シェフチェンコがいるので、ランパードもそれほど上がれない。点は取られないだろうが、これでは爆発力がない。右にコール、左にロッベン、中央にドログバ、その下にランパードという去年の布陣の方がよほどよい。このままではチェルシーもレアルのような運命をたどるのではないか。