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March 20, 2004

サッカー オリンピック最終予選 日本ラウンド

[ cinema , sports ]

どうしようもないところまで追いつめられて、最後の最後に歓喜が爆発するパターンは、最終予選にはつきものだ。バーレーンに0-1で負け、レバノンを2-1でかろうじて下し、UAEに3-0で勝ち、「アテネへの切符」を手にしたU−23代表。
ゲームの熱気に惑わされずゲームそのものを見てみよう。まず山本昌邦はこのゲームで「超攻撃的」に3トップにしたのではない。大久保、平山、田中達也の3トップを並べてみたが、両サイドには、徳永と森崎、ボランチに鈴木と今野、そして茂庭、阿部、那須。誰がパスを出すのか? 出せるのは鈴木ぐらい。徳永と森崎の両サイドにいたっては、クロスの精度など望むべくもない。専守防衛に近い感じ。つまりアタックはトップの3人に任せ、後はディフェンス。石川も山瀬も前田も松井もゲームが終わるまで出場していない。攻撃を作れるパサーが誰もいない。これは「超守備的」なフォーメイションだ。
だがその「超守備的」なフォーメイションでもUAEを圧倒し、ほとんどのボールをキープし、決定的なピンチもなく、クロスバーを叩いた不運なシュートを思い出せば、5-0ぐらいのゲームだった。つまり、今野、鈴木、森崎、徳永でボールを奪い、徹底して平山に当て、それを大久保と達也が拾いまくり、セット・プレイでは阿部がいる。やっていることは、いつもと同じで実にシンプルだ。それで勝てる。つまりUAEは弱い。逆に言えば、日本はかなり強い。バーレーンに敗れたのは、単に経験値の低さによるだろう。もっとサイド攻撃を徹底し──つまり失敗しても繰り返す──ていれば、バーレーンには勝てただろうし、レバノンからもっと点が奪えていたはずだ。もっと経験を積み、つまり、もっと自信を持って臨めば、どのゲームにも勝てたはずだ。
「メダルも狙える」という川渕「キャプテン」の談話もまちがっていない。アジアのレヴェルでは、かなり行けるチームになっている。山本昌邦の涙に騙されてはいけない。上記に書いたなどお見通しだろうし、だからこそ、守備的な選手を7人も入れてきたのだ。彼はかなり計算しながらゲームプランを立てる客観的な男なのだ。体調不良の選手の存在、コンディションを落としたことなどを除けばほぼ山本昌邦ゲーム・プラン通りに進められるだろう。このチームは相当強い。

梅本洋一