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April 10, 2004

チャンピオンズリーグ準々決勝 2nd leg デポルティヴォ・ラコルーニャ対ACミラン

[ book , sports ]

僕は、「まだ1st legでアウェイだとは言え1-4の敗北は、デポルにとって今年のチャンピオンズリーグが終わったに等しい」と書いた。そして、こうも書いた。「僕はルケ、ビクトル、バレロンの3人で構成する展開をもう一度見たい。ホームでの2nd legでモティヴェーションを切らさないことを祈るだけだ。そして、今晩行われるモナコ対レアルで奇跡が起こらないものか?」
デポルにとってチャンピオンズリーグが終わったどころか、「奇跡」まで起きてしまった。モティヴェーションが切れるどころか、3点差をひっくり返し、見事なフットボールを展開し、前年チャンピオン・チームを粉砕したのは、デポルだった。「ルケ、ビクトル、バレロン」のそれぞれが1点ずつとった。モナコ対レアルのゲームでも、ここでも信じがたいことを目にしてしまった。フットボールで3点差とは野球だったら10 点差、ラグビーだったら、30点差に匹敵するだろう。もちろん、アウェイ・ゴールというチャンピオンズリーグ特有のルールのおかげだとは言え、その点差が、デポルの一週間前に書いた通りのフットボールで簡単にひっくり返り、ミランもレアルも目を覆うばかりの惨状だった。
デポルとモナコの共通点は何か? それは素晴らしいサイドアタッカーの存在だ。ルケとビクトル、ロタンとジュリ。もちろんルケとビクトルの方が力は上だろうが、サイドからのクロスボールと中に切れ込んでのシュート。サイドアタッカーの存在が、今年のチャンピオンズリーグの趨勢を占うと言っても過言ではない。そして、デポルとモナコの差異はどこにあるのか? それは、トップ下の存在だ。2ボランチからサイドに展開するモナコと、ここぞというとき、バレロンにボールが供給されるデポル。4-4-2と4-5-1の差異。プルソ、モリエンテスというふたりのトップを持つモナコと、パンディアーニの1トップの下に常にバレロンが控えるデポル。
ジダン、フィーゴよりもロタン、ジュリ。セードルフ、カカよりもビクトル、ルケ。自由にポジションを変えながら流動的に攻めるレアルやミランよりも、スピード溢れる上がりでサイドを抉って折り返すフットボールが勝利を収めたと言うことだ。4人のライン・ディフェンスとふたりのボランチでの守備に遭うと、スペースがなくなる。好調時のアーセナルでのアンリの左サイドのように、サイドを一杯に使う攻撃がシステマティックにできるチーム。そうしたチームが「番狂わせ」を起こすことになったのだ。

梅本洋一