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September 15, 2004

W杯予選 オランダ対チェコ

[ cinema , sports ]

老獪なブリュクネルに対するマルコ・ファンバステンの新生オランダ。チェコは、ネドヴェドをはじめ怪我人が多くベストメンバーからはほど遠い。だが、W杯予選の中ではそれでももっとも注目されるカードになっていることはまちがいない。ユーロでも、このカードはあった。多くの批評家が、ユーロでもっとも面白かったゲームと言っているが、私は、このコラムでも書いたとおり、アドフォカートのオランダの適応力のなさに驚き、凡庸なゲームだと思った。
だからマルコ・ファンバステンの初陣に当たるこのゲームには当然注目した。チェコは、怪我人を除いて好調だったユーロとほぼ同じ戦術。4-1-3-2のフォーメーション。コラー、バロシュの2トップ。そしてオランダは、何と、黄金期のオランダが採用した3-4-3! 3バック、スネイデルを底にダーヴィッツ、ファン・ボメルを両翼にファン・デルファールトをトップ下のダイアモンド型の中盤。ファン・ホーイドゥンクをセンターに、カステレン、クイトのフェイエノールト・コンビを両ウィングにした3トップ。このフォーメーションこそ、私たちがユーロで見たかったものだ。
ゲームは周知の通り2-0でオランダ。ホームだから当然の勝利とも言えるが、チェコに怪我人が多く、バロシュにシーズン開幕後の疲労のためがスピードがなかったことを差し引いても、非常に面白いゲームだった。
中盤から徹底してプレッシングをかけていく両チーム。中盤の人数ではフォーメーション上常にチェコが勝る。積極的にドリブルでバックラインにつっかけていくチェコ。オランダの3バックは、互いの間隔を広くとって、チェコのサイドチェンジに備えるが、ドリブルでつっかけられると、当然尻軽状態になり、GKのファン・デルサールが4人目のディフェンダーとして右に左にカヴァーディフェンスに走り、ファン・デルファールトを除いた中盤の3人もディフェンスに忙しくなる。幸いバロシュのいつもの「切れ」がなく、オランダのゴールネットが揺らされることはなかった。
オランダは両ウィングから攻める。伝統のオランダスタイル。中盤の3人がめまぐるしく動いてボールを奪い、両ウィングにボールに提供されると、必ず「勝負」。若い両ウィングはまだ勝負に常に勝てるわけではないが、それでも有効なクロスが上がるとファン・ホーイドゥンクが待ちかまえ、シャドウストライカーとしてファン・デルファールトがファン・ホーイドゥンクの周囲に駆け上がる。ダーヴィッツ、ファン・ボメルがもっと頻繁にサイドチェンジし、スネイデルがもう少し前に出て中盤のスペースを消していけば、もっとアヴァンギャルドなフットボールが見られるだろう。

梅本洋一