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August 4, 2005

サッカー 東アジア選手権 北朝鮮対日本 0-1 中国対日本 2-2
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 東アジア選手権の中間的なレポートを書いておこう。
 初戦の対北朝鮮戦は、なによりも代表メンバーのモティヴェーションの低さが際立った。なぜこうしたトーナメントがあるのか。W杯予選の中間に、Jリーグの合間に、高温多湿の地でトーナメントを戦う必要があるのか? それを理解できないのは選手ばかりではない。中澤のミスパスから生まれた1点は選手たちのモティヴェーションの低さが原因だ。このトーナメントは、選手たちにとって「負けても良い」ものなのである。国際Aマッチだが、すでにW杯出場を決めている。コンフェデではそれなりのゲームをした。だが、がつがつ削りに来る北朝鮮の選手たちを相手にすると、少しだけあったモティヴェーションも低下していく。
 初戦の敗北にジーコがとった対策は単純明快。先発全員の入れ替えだ。こうすれば当落線上にある選手たちのモティヴェーションは上がるはずだ。当然だろう。対中国戦、ゲーム開始直後から右の駒野、左の村井を中心にサイドアタック、そして田中達也が右に左に動き、今野と阿部がボールを拾いまくった。だが、問題はシュートが入らないことだ。原因はふたつ。ひとつはコンビネーションが甘いこと──仕方ないだろう。急造の11人なのだから。そして原因その2。これは重大だ。トップ下の本山が消えていること。動きが重いのか。それとも彼にはこのポジションはこなせないのか。それは分からないが、対マンU戦で見せたキレが見られない。良いリズムの時に点が入らない場合、当然のようにカウンターを喰らい、空いた中盤のスペースからクロスが入り、1点奪われ、そして意気消沈した若いチームはもう1点献上する。前半0-2。
 ジーコは、阿部のFKを茂庭が押し込み1-2になった後半15分過ぎから選手を代え始める。まず巻──良いターゲットになっていたが──、本山──当然だ──から、大黒、玉田。つまり3トップ。大黒を真ん中に左に玉田、右に達也というフォーメーションに、だが、うまく行かない。3トップが孤立している。パサーがいないのだ。ターゲットマンが退き、パサーがいなくなれば、トップは孤立してしまう。阿部と今野にその役割を期待するには、経験がなさすぎる。選択肢はふたつしかないはずだ。何よりも欲しいのがパサーだとしたら、ワンボランチにするか、4バックにするかだ。そしてジョーカーは、ベンチのメンバーを見る限り小笠原だろう。だが、驚いた。ジーコの選択は村井を代えてアレックスの投入! 北朝鮮戦の「戦犯」は誰あろうアレックスだった(こういうのを情実人事と呼ぶ)。少なくともぼくの目から見れば、彼は代表レヴェルにない。仕方なく玉田がトップ下に下がる。巻を欠いた前線にターゲットはいない。達也と大黒は空しく走り続けるだけだ。達也の「ど根性ゴール」が決まり2-2になったのが精一杯。解説のセルジオはバックラインのパス回しに終始する後半の後半に怒りを爆発させていたが、このゲームを見ていた人なら全員セルジオに同感! 中田と俊輔と伸二がいないこのチームにはやはり小笠原が必要なのだ。中盤の組み立てを放棄して「イケイケ」フットボールをやろうとしても、バックラインの選手はボールを失うのが怖くなり、中盤でボールを奪ってもバックパスばかりになる。やはりゲームメイクは絶対に必要だ。