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December 5, 2005

早稲田対明治 40-3
梅本洋一

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 点差はともあれ、このゲーム運びで今シーズンの早稲田がトップリーグのチームに勝てるとは思えない。スクラム圧勝、ラインアウト圧勝──つまりセットプレーでは完勝したのに、6トライしか取れない。明治の例年通りのシャローディフェンスの餌食になった? それはその通りなのだが、今年の早稲田には「早明戦の独特の雰囲気」など関係ないと思っていた。淡々と勝利し、実力を見せつけ、アルティメイトクラッシュすると思っていた。だから学生は分からない、とこれまた例年通りの感想を書き記せばいいのか? ここで抜ければトライという時にノックオン、ここでボールを出せば、というときに矢富の軽いプレー。ぼくは個人的に矢富のプレーに好感を持っていて、日本にも久しぶりによいSHが現れたと思っていたが、今日のゲームのようにFWがほぼ完璧なプレーを見せたとき、SHはパスマシーンに徹するべきだ。そして、FWの踏ん張りを直接バックスへと連結し、ライン攻撃で美しいトライを取ればそれでいいのだ。アタックの遅延の多くは矢富の持ちすぎが原因。ラインブレイクも多かったが、明治のディフェンスにスペースを奪われていた。ならばラインの間隔を調整したり、深い浅いを使い分けたりすればよい。スペースがないのなら、スペースを創造する努力を行うことだ。
 曽我部は、ゲーム後に涙していた。確かに彼の怪我や、ようやくここまで来たという実感を共有しないわけではないが、それでも君が目指しているのはこんなレヴェルではないだろう。日本代表のSOになり「世界に飛躍」できる素材なのだから。
 冷たい雨が降る天候が微妙にパスの精度やキャッチングを狂わせたとも言えるだろう。だが、どんな天気であろうとも、このレヴェルでは高度なプレーを見せない限り、日本のラグビーの進化はない。若くて良い素材を集めた今年の早稲田は、単に大学チームという枠だけで語られるべきではない。清宮が主宰する実験室で多様に研究されたラグビーがゲームという実践の中で別の課題を見出す。そのためには一回りも二回りも成長し、進化しなければならない。