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May 3, 2008

07-08チャンピオンズリーグ準決勝
マンチェスターユナイティド対バルセロナ 1-0(1-0)
チェルシー対リヴァプール 3-2(4-3)
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 やはり今年のバルサには大きな問題があるようだ。特にエトー。彼の弱気の原因はどこにあるのだろうか。それに何人もが連携する動きが乏しい。ホームでもアウェイでもポゼッションこそ上回ったけれども、危険を感じさせるのはメッシとデコだけ。シャビもイニエスタも細かい芸当はうまいのだが、決定的な仕事をするには至らない。メッシのシュートがキーパーに止められ、デコのシュートが枠を捉えなければ、ハードワークを厭わないマンUのミッドフィールダーには脅威に映りはしない。組み合わせに恵まれたとはいえ、準決勝止まりが順当だろう。
 もちろんマンUのフットボールが素晴らしいというわけでもない。誰の目に明らかなように、テベスとパク・チソンの信じがたいハードワークと「根性」、バックラインの安定とスコールズ、キャリックの読みの良さ。ルーニーを欠いたこのチームの長所を挙げればそんなものだろう。それぞれにタスクを与え、サー・アレックス・ファーガスンが睨みをきかせれば、全員が頑張る。そして、まず負けない。それこそがこのチームの伝統であって、その伝統はアレックス・ファーガスンが辞任しない限り、続いていくだろう。スコールズのミドルは久しぶりに見たが、まったく錆びていない。
 そして、アンフィールドでの第1戦をリーセのオウンゴールで引き分けてしまったリヴァプールは、スタンフォード・ブリッジでアウェイゴールを取って勝たねばならない。だが、この日のチェルシーのドログバは彼本来のキレが戻っている。モウリーニョ退任以来やる気の欠片もなかった彼に闘争本能が戻ってきた。前半と延長前半に見せた彼のシュートは絶好調時の彼でもなかなか見せられないだろう。アーセナルがドログバに沈められたように、リヴァプールも彼の2発で撃沈させられた。それにしてもチェルシーは強いのだろうか? アヴラム・ブラントは、さっぱり好きになれないが、それでも2008年に入ってから無敗なのは確かだ。4-3-3のシステムを固定し、選手交代にも驚きはない。フランク・ランパードの母が亡くなり、喪休明けの彼がPKを決めて、涙に沈む姿は感動のメロドラマそのままだが、そんな背景がなければ、このチームもまたよい選手を寄せ集めただけのチームではないのか。マンUのど根性やキレキレのドログバ──個々に興味深い要素はあるのだが、どちらのチームもフットボールの新たなコンセプトを提出するには至っていない。ジダンがいた頃のレアルと同じように、局面では興味深い要素が見つかるのだが、チャンピオンズリーグという最高峰のフットボールを創造する場所というより、その「寄せ集め」ぐあいにおいて、W杯やユーロに出場するチームにも似ている。ぼくがそんな感想を抱いてしまうのは、やはりアーセナルが敗退したせいなのか?