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March 25, 2010

『スイングバイ』柴幸男
加々本浩基

[ theater]

 3月22日、こまばアゴラ劇場の一階受付。私は自分の名前を受付係員に名乗り、整理番号の書かれたタイムカードを渡される。劇が幕を開ける20分前、番号で振り分けられたわれわれ「観客」は自らの番号を確認しながら待つ。番号を呼ばれたさきにはエスカレーター。係の方に案内されるまま、あたふたしながらも2階の劇場内入口へ。一歩また一歩と足を進めていく。タイムカードを押している前の人に習い、私もタイムカードを機械...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:36 PM

March 21, 2010

『風にそよぐ草』アラン・レネ
梅本洋一

[ cinema]

 かなり前からクリスティアン・ガイイのファンだったぼくはこのフィルムを心待ちにしていた。アラン・レネとクリスティアン・ガイイの遭遇。そして何よりも、その遭遇を望んだのはレネだった。レネがやるこの種の遭遇はいつも重要だ。最初は、たとえばマルグリット・デュラスとの遭遇、もちろん『ヒロシマ、モナムール』だ。そしてアラン・ロブ=グリエとの遭遇、『去年マリエンバードで』。いちいち挙げることはしないけれど、ア...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:13 PM

March 19, 2010

『愚か者は誰だ』渡辺裕子
高木佑介

[ cinema, cinema]

 30分という尺に留めておくには惜しいほどに贅沢な短篇だった『テクニカラー』(船曳真珠)と並び、今年の「桃まつり」の中でもとりわけてクオリティの高い作品に仕上がっているこの『愚か者は誰だ』。渡辺裕子が脚本を担当した濱口竜介の新作『永遠に君を愛す』(09)も男女が向かえる修羅場とその極端なタイトルが印象的だったが、あるいは彼女が持つ「色」のようなものがあるのだろうか、やはり今作でもひとりの女の不貞を...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:35 PM

March 17, 2010

『あの夏の子供たち』ミア・ハンセン=ラブ
結城秀勇

[ cinema, cinema]

 ジョナサン・リッチマンの「エジプシャン・レゲエ」が流れる中、矢継ぎ早にパリの街角の映像が継ぎ接ぎされ、その上に色とりどりのクレジットが重ねられる。「エジプシャン」と「レゲエ」の突飛な組み合わせからなる曲名からも想像できるそのままの、どこかすっとぼけたようなエキゾチシズムが断片的なパリを積み上げていく。ホテルの入り口から姿を現した男が、これまた非常に短いショットの連なりの中で続ける携帯電話越しの会...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:27 PM

March 10, 2010

『ハート・ロッカー』キャスリン・ビグロー
鈴木淳哉

[ cinema, cinema]

 私は「戦争」に反応できない。なにか考えても、思うところがあっても、それらは戦争経験のない身にとって、反応からはるかに遅れた、それとは別のある振る舞いとしかならない。「振舞う」こと自体すらも何らかの倫理基準に抵触するのではないかと思い、縮こまるのである。だから、映画の冒頭で、「戦争は麻薬だ」という提言がなされても、「戦争」とも「麻薬」とも縁遠い身としては、どういう意味か考えてしまい、また「反応」は...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:17 PM