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April 13, 2021

『水を抱く女』クリスティアン・ペッツォルト

[ cinema ]

 『水を抱く女』において、しつこいほど繰り返されるバッハのピアノソナタは、何度か急に切断されたように聞こえなくなる。それほど長い曲でもないのだからすべて使っても差し支えないだろうが、クリスティアン・ペッツォルトはそれをしないでブツッと音楽を中断させる。この劇伴の急な停止はどこか映画に亀裂のようなものが生まれた印象を与える。実際にその中断が起こるシーンを見てみよう。  ピアノソナタがはじめに流れるの...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:12 PM

April 5, 2021

《第3回 映画批評月間:フランス映画の現在をめぐって》『ジャック・リヴェット、夜警』クレール・ドゥニ

[ cinema ]

 画面の中に物静かに佇むジャック・リヴェットと、その隣で彼に饒舌に語りかけるセルジュ・ダネー、そしてクレール・ドゥニが彼らに向けてカメラを構える。昼の部と夜の部からなるこのドキュメンタリーには、パリの街を回りながら、リヴェットとダネーが映画を巡って会話を重ねる様子が映し出されている。  ふたりの間で交わされる会話の応酬に終始魅了される2時間の中でも特に忘れがたいのは、夜の部の冒頭でリヴェットが、『...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:02 PM

April 3, 2021

『ノマドランド』クロエ・ジャオ

[ cinema ]

 鉱山とともに生まれ続いた小さな街が、閉山とともに消滅する。商売がなくなれば人がいなくなり、人がいなくなれば街がなくなる、というのはどこの国でも同じだろうが、最後の住民が街を去るか去らないかのうちに郵便番号が消滅してしまうというのは、ひどくアメリカ的な光景に思える。人々に見放された建物はまだそこにあり続けているのに、その場所を示す番号はない。  ファーン(フランシス・マクドーマンド)は、新たな番号...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:40 PM