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June 1, 2004

ラグビー スーパーパワーズカップ2004 ジャパン対ロシア ジャパン対カナダ

[ cinema , sports ]

対韓国戦での萩本をさんざん批判し、これでは対ロシア戦も対イタリア戦もまったく期待できないと結んだ私が、この連勝をどのように記せばよいのか?
共に2トライながらも、5つのPGで逃げ切った対ロシア戦(29-12)。箕内がフランカーに入ったことで、ディフェンスが安定し、ロシアの無策にも救われたが、試合運びはずいぶん安定した。突き刺さるタックルこそ多くはなかったが、とりあえずタックルにはいくようになった。我慢ができるようになった。なんと言ってもこのチームの中心は箕内だったことを十分にうかがわせた。もちろん、箕内がこのゲームの最大の発見だったというわけではないことは明らかだ。箕内なら当然このくらいはやれる。最大の発見は、スクラムハーフに入った池田渉だ。かつてセヴンズの代表に入ったことのある選手だとは言え、2回のコンヴァージョンと5回のPGをすべて決め、トライもひとつ取り、さらに球捌きも合格点。彼の長所は、プレイを無難にこなすことではなく、グラウンド全体を見渡すことのできる視野の広さだ。このゲームは、ディフェンスをやり、池田渉の24点で勝った。
そして対カナダ戦。このゲームは前半を10-18でリードされ、ボール・ポゼッションではカナダが完全に上回っていた。前半のジャパンは、ラインアウトからのモールで1トライを奪っただけ。我慢のディフェンスを続けてはいたけれども、後半に入れば、ディフェンスも少しずつ綻びを見せて、最後には大差というパターンが繰り返されるだろうと予想された。しかし、後半に3トライ(3コンヴァージョン)をあげたのはジャパンだった。絶好球を何度も大畑がノックオンしたのに、パスワークが何度も乱れたのに、3トライを奪えたのは、何よりもこのゲームでスタンドオフにはいった森田のおかげだ。大柄なロングキッカーの法政大学3年生は、池田渉のテンポの良いボール出しに助けられて、自陣にあっては超ロングタッチキック、敵陣にあってはスピードのある飛ばしパスを連発し、ピンチを救いチャンスを演出した。後半26分には、ゴール前のスペースを見つけて、自らトライ!課題とされていたディフェンスもそこそこにこなし(少なくともミラー程度には)、才能を見せつけてくれた。つまり、萩本は、池田渉、森田恭平のハーフ団に救われたことになる。34-21という最終スコアはジャパンの快勝を示している。もちろんグラウンド・レヴェル38度という暑さもあったし、カナダのセレクションが若手中心だったこともある。さらにジャパンはカナダと相性がいいこともある。だが、それでもこのゲームは、かすかすで勝てたわけではない。トライを取ろうとしてトライを取り、仕掛けてゲインできた。大畑のアウトサイド・センターは相変わらずまったく機能していない(萩本は、大畑をウィングに回すか、ベンチに置くかの選択をいつするだろう)し、彼のスキルのなさは目を覆うばかりだが、それでも池田、森田のハーフ団は、今後のジャパンに光明を与えている。箕内らフォワードがイタリア戦でもそこそこにボールを確保できれば、少なくとも惨敗はないかもしれない。

梅本洋一