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July 23, 2010
スポポリリズムvol.12 プレ録音映画祭渡辺進也
[ cinema]
今回の録音映画祭にも縁がある、『SR サイタマノラッパー』の音楽のP.O.P ORCHeSTRA(「1」「2」に出演のSHO-GUNGやB-huckも姿を現す)、『ライブテープ』の前野健太とDAVID BOWIEたちのライブが(映画をなぞるように『天気予報』から『東京の空』へと。ステージ上で暴れてた。)が終わると、暗くなったステージ上で厳かにセッティングが始まる。
真ん中に簡易的なスクリーンが置かれ、そのスクリーンを挟んで、左にあらかじめ決められた恋人たちへの池永正二氏――ステレオやら小さいパソコンやらが置かれ、周りにはピアニカやらギターやら光と音を発する機械めいたもので囲まれている――が、右に山本タカアキ氏――シンプルにボタンやつまみのある卓が2台――が位置をとる。
これは、【SOUND PAINTING】「シャーリー・テンプル・ノーリターン」という名の通り、かつて音のない映像としてあった『シャーリー・テンプル・ジャポンpart1』40分あまりに即興で音が付けられ、その場でMAが行われるという前代未聞の試みであり、文字通り1回限りのそしてもう2度と行われないだろう試みである。
ミスドに流れるようなオールディーズで始まり、「シャーリー」シリーズで度々流れるあの街宣車の台詞が流れ、その台詞は繰り返され引き伸ばされぺしゃんこにされる。静かに始まったその作業はもうその後は、音が無限に感じるほど付けられていく。今回のために冨永監督によって書かれたナレーションやら――108人のダイバーが選挙の投票のために海で潜伏していて、結果モーガン・ジョンソンさん夫妻(!)に遺体を発見されるというもの――波のざわめきやら小鳥のさえずりやら駅の放送やら野球のヒーローインタヴューやらヒップポップやらカントリーやらの音楽がもはやバックミュージックでもない音量でかけられ、ナレーションは左右のスピーカーに音を振り分けられ、波音やさえずりが全画に出てきたり後ろにひいたりと微妙なさじ加減で動いていく。
一段上がったステージ上でふたりがいったいどんな作業を行っているのかは見えないけれども、それを池永氏が音を選んで出しそれを山本氏が調整をしているのではないかと想像すると、それを詮索することもあまり意味のあることだとも思えないが、それはもう窺い知れないところで驚くべきことが行われていたとしか思えない。何の音がかかるかわからないままでそれを調節し、画に合わせて本来なら聞こえないはずの音がそこにあっても間違いではないかのように存在する。無限の音と書いたがそこにはあきらかに秩序が存在し、そしてこれはまぎれもない映画としてある。この映画のドカンポイント(ドカンポイントについてはインタヴューを参照のこと)である女性が転がされ回される場面となると、その終わりに近づいていることを寂しく感じるほどのめまぐるしい光悦感が映画の間中続いていったのだ。
たぶんこのように書かれた文章を読んでも、そこで何が行われていたのかはわからないだろうと思う。だって、観ているほうもそこで何が行われているのかわからなかったのだから。ただひとつの音が鳴るごとに興奮し、ひとつの音がいじられるごとにうならせられる、音の奥深さを知る体験となったのだった。映画の音については少しでも意識的でありたいと常々思う。しかし、ついつい画の方にばかり気をとられがちだし、そもそもその音が覚えられないことも度々だ。『シャーリー・テンプル・ノーリターン』はそれを無理やり意識する段階までわからせる試みだったと思う。
一方、「録音映画祭ではもっとちゃんとした映画を上映します」という言葉が山本氏からあったのだけれども、録音映画祭ではおそらくそれこそ普段観客として気づくことのない音の部分、知らぬうちに意識や感覚にまで作用するその部分が明らかになるのではないか。いつも以上に音に意識して映画を楽しみたいと思う。
SPOTTED63 vol.1
録音映画祭feat.山本タカアキ
日程:7月24日(土)~30日(金)
会場:池袋シネマ・ロサ
時間:21:00~
料金:各回1,500円(全日均一)
詳細はこちらまで
投稿者 nobodymag : July 23, 2010 04:08 AM
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