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February 13, 2005

ラグビー日本選手権2回戦
早稲田対トヨタ

[ cinema , sports ]

4年間の清宮集大成がトヨタに通用するのか。それがこのゲームの興味だ。僕も完全に早稲田のサポーター。だが、結果は、やや無惨なものだった。後半30分まで9-7とリードしていたので、接戦だったと考えられるかもしれないが、結果が9-28である限り、これは冷静に受け止めるべきだろう。トライ数0-4では完敗だ。ラグビーはスコアのゲームだから、ノートライでも勝てればよいのだが、ノートライで敗れるのは、やはり完敗以外のなにものでもない。五郎丸の失敗したPGが2つあり、安藤の外したDGが3つあったとしても、計16点。勝つには2点足りない。すべてうまく運んでも2点差。そしてこの2点差は、やはりトライ数の4つの差の反映でしかない。
まず早稲田最強のFWというが、トヨタのFWよりもずっと弱かった。スクラム、ラインアウトで優位に立てず、ポゼッションで上回ることができなかった。つまり、完全なディフェンス・ゲームになることは目に見えている。そんな状況でも勝利を得るには大西ジャパンくらいのスキルが要る。バックスの全員がまずハードタックラーである必要がある。ノックオンなど論外だろうし、「伝統工芸」的なパスワークも必要だ。確かに今村も1次防御は抜けるが、裏に出るまでには至らない。大学レヴェルでは抜けるものが、FW戦で圧倒していない分、スペースを埋められる。だが、このゲームでは、最後に小吹、五郎丸のタックルの弱さがつかれ、ギヴアップ。敗因は明瞭だろう。首藤の怪我も痛かったろうが、首藤がいたとしても点差は同じだったろう。これから早稲田が、今以上に延びるためには、大学選手権優勝という目標をまず切り替え、トップリーグのベスト4に勝てるチームを作ることに置かねばならない。FWが圧倒されてもボールを出し、それをトライに結びつけるゲームプランを立てなければ、トップ4に勝つのは難しいだろう。最後のゲームで、突然、PG、DGを狙っても、それは練習とは異なる。目標をもう一段高いところに置けば、大学レヴェルでモールでトライを取ったり、FWのピックアップ・プレイでトライすることはなくなる。劣勢なFWの中でどうトライを取るのか──それを考え抜く。今日の敗戦の原因は、逆説的に「最強」FWにあった。大学最強のFWも、トップリーグのFWには及ばない。そして早稲田のBKラインは決して大学最強ではない。今村、首藤というスピードランナーはいるけれども、同志社の平や関東の有賀のような選手はいないし、屈強のセンターもいない。菊地、内藤の誠実なプレイは賞賛できるが、彼らにしてもラインの裏に出るスキルもスピードもない。清宮は「ガンチコ勝負」を挑むと言ったが、どう考えても「ガチンコ勝負」では勝てない。大学チームは毎年人が入れ替わる。それでも勝ち続けること、しかも、宿沢、植山を擁した時代のように日本選手権を勝ち抜くこと──時代がちがうと言い訳をせず──を目標に、新たなラグビーを模索して欲しい。それがFWで常に劣るジャパン強化に繋がることは述べるまでもなかろう。

梅本洋一